「放かっておけば、いいね…そんな悪い生徒は。
だって他人でしょ・・・
後でどんな目に遭ったって関係ないね・・・!」
そう言って、電話の向こうのローズはオレのことをかばって…
味方してくれた。独特の口調の日本語だが…うれしい。それに尽きる。
オレは校則を守らせようとしただけなのだ、しかし激昂した生徒に
暴行を加えられ…2週間のケガと診断されてしまった。
しかも、バカな親に逆ギレされ……その時の光景がフラッシュバック
しやがって、怒りで眠れなかったのだ。
怒りはやがて、明確な『殺意』に変わる。
『殺してやる』
『殺してやる』
『殺してやる』
『殺してやる!』
このままではヤバいと、オレは急患で心療内科に駆け込んだ。
そして、医者に全てをぶちまけた。
しかし、返ってきたのは意外な答えだった。
「今の状態を抑える薬はない」という。ターミネーター3で、絶望した
ジョンをターミネーターがわざと挑発し、怒らせるシーンで
「・・・怒りは絶望に勝る」
そう言ってジョンをなだめた。それほど強い感情なのだ、怒りとは。
とりあえず、オレは消費した薬を補充し…医者を後にした…。
怒りの感情を…収める………どうやって…?……
その時だったのだ。車のサイドシートに放り出した携帯電話が鳴り
「ダイジョウブ?」と、独特のイントネーションの愛しい響きが耳に残る。
『ローズ……!?』大きな氷にヒビが入ったときのように
ピシッと心の中で音がした……。そして先の言葉で
怒りで充満した心は、ガラガラと音をたてて崩れ落ちた。
ローズに逢いたい。……いつものように『愛してる』と言いたい。
考える間もなく、車はローズのいる店へと向かっていた。
そして、店に着くと扉を開く。
ヘルプの女の子が席を立ち、ローズが代わりにオレの隣に
優雅に座る。そしてオレはホットの緑茶、ローズはウーロン茶を
グラスに注いで持ってきた。
そして、オレは思うのだ……。
こんな美しく、優しい女と巡り合わせてくれた人生に……
神も仏もないハズの世の中だが……目の前に神はいるという事実に
デタラメなカラオケに、手拍子してくれる愛しい存在に。
愛してるよ、ローズ……本当にありがとう。
キミと幸せになれたら……とてもうれしいね……。
今でも、オレは『幸せいっぱい感じてる』けどさ。