「お疲れ様です、イエローハット☆☆☆店サイジョウです!」
そのセリフには、必ずオレはこう返すことにしている。
『サイジョウさん大好き!ばたらです』
ヴァカそのものだろう。はたから聞いていれば。
イエローハットの『サイジョウさん』は、オレが実業高校で講師をやってた頃に、イエローハットの新入社員として働き始めた女の人だ。
一言で言えば『カワイい』
品がない表現なら『ゲロマブ』である。
実業高校には、Zで通ってたので、通り沿いにある、このイエローハットはオレの生活圏の範疇だった。
「見習い」のワッペンを付けている彼女に、オレは『頑張ってね♪』と声を掛け、ささやかなおしゃべりをするうちに親しくなった。
さて、大人の女の雰囲気を醸し出していた彼女だが、その年の夏休み、オレはとんでもない事実を知ることになる。
将来、喰うのに困らないよう…『大型トラック』の免許を、地元の自動車学校に取りに行ったのだが…
2階から、今どきのギャル…安っぽく、派手な恰好の女の子が降りてきて、目が合った。
『ハァ!?…サイジョウ…さん』彼女は、顔立ちこそ大人びていたものの、免許も持ってない「未成年」だったのだ…。
オレは、さすがにその年は誘いをかけるのをあきらめた。…未成年とホテルなんてバレた日にゃあ、「教員免許を奪われてしまう」シャレになんねー。
さて、車のない生活がしばらく続き…イエローハットもご無沙汰だったが、Zの芳香剤を買いに今日は走った。ついでに午前中、歯医者に行ったときに「バンパーの下」をこすってしまい、似た色でタッチアップしようと思い、久しぶりにイエローハットに行った。
笑顔のサイジョウさんが「いらっしゃいませ。お久しぶりですね♪」と迎えてくれる。
そんな彼女に「サイジョウさん大好き、ばたらです♪」と、いつものヴァカなセリフを、目の前で平然と言ってのける。
彼女に、メタルブルーに似た色のタッチペンを選んでもらい、帰り際に「レシート」にオレの電話番号を書こうとすると……
「ワタシが書きますよ♪」『……へ?』
『サイジョウさんの』電話番号を教えてもらってしまった!
冬休みのデートが出来ますように。
『神サマよろしく!』