Zを操縦してるオレのところに、ローズのハスキーな声が、携帯を通してやって来た。
「19:30には来れる?」どうやら店のポイント制らしい。
Zの代金を払って、とって返せば何とか間に合う。
『おっけー☆待ってな、ローズ』
オレは湾岸線を走り、ローズの働いているバーを目指した。
次の信号を右折すると、ローズの店だ。
オレはZを駆り、1ヶ月ぶりにバーに戻ってきた。
黒一色のスーツ姿で、軍用のかばんを抱えて店のドアを開いた。
店の女の子が、いらっしゃいませと言う。『いらっしゃいました♪』とオレが返す。ローズはどこだ?いた!男性スタッフのカウンターにもたれかかって笑顔をオレに向けて来た。
ローズ……!!
テーブルにつくと、すぐに彼女がやって来た。久しぶりの挨拶もそこそこに、オレは彼女を脇からしっかりと抱えこんだ。そして言った。
『もしも帰って来なかったら、比国まで捜しに行くつもりだったよ』と…。本気だ。飲み代貯めれば…渡航費にはなるだろう。
ちょっとしたサプライズもあった。ローズはオレに、土産を買って来てくれていたのだ。…それはスラッシュ模様の入った、水色と紺色のネクタイだった。
『ありがとうローズ!!』感激して、オレは彼女の肩を抱く。ローズは笑顔を絶やさない。
オレは一つ、今までと違うことに気付いた。
それは、触れられるのをあれほど嫌がっていた彼女が、彼女の方から身を寄せている。
彼女の香りが、家に帰った今でも体のあちこちに残っている。
ローズが他の客の指名を受け、テーブルを離れた。これは仕方ない。彼女はこの店で、1・2を争う人気なのだ。
ヘルプの女の子と、当たり障りのない話しをしつつ、ローズが戻ってくるのを待つ、カラオケも何曲か歌った。
戻ってきたローズが、リクエストをオレに伝える。「いつもの、ね♪」
それは、WANDSの
『愛を語るより、口づけを交わそう』だ。誕生日にCDをプレゼントして以来、彼女のお気に入りの曲になったらしい。
『夢から覚めて…寝ぼけたふりでキミをきつく抱きしめた』
オレも、ローズを抱きかかえている。
『愛を語るより、口づけを交わそう。互いの心に炎ともすように』
ローズの心にも、少なからず炎が灯ったのかもしれない。触れた体は離れようとしないから……。
『何もかもいらない…キミがいるだけで。』
おかえり、ローズ… 愛してるよ