学年主任の矢部先生から頼みごとを受けたのが
朝の登校直後だった。何でも午後に体育祭の練習があるのだが
休みを取った先生のところを手伝ってくれる人がいないらしい。
そこで、後任のオレにお鉢が回ってきたわけだ。
オレは頼まれると基本的に断らない。そしてもうひとつ、
理不尽な物言いには、とことん反発するようできてしまっている。
体育の教師に「キンタ」という40台半ばのヤツがいるのだが、こいつの
神経質さと偉そうにふんぞり返った態度には反発心どころか
反骨心さえ覚える。
今日の午後からの仕事は、完全にボランティアで
メシも喰っていなかった。
矢部先生からの指示を受けて、リレーの選手のレーン確認を
すればよかったのだが…そのまま流れで「二人三脚」の手伝いを
するハメになってしまった。
基本的に、オレは気が利かない・気が短い・気が荒い!
どうしていいのかわからんまま、二人三脚の準備が進む。
足を縛るたすきを、他の先生が配っていた。
すると、キンタの野郎がオレに向かって高圧的に抜かしやがった。
「半分ぐらい手伝ってくださいよ!手伝いに来てるんでしょう!」
オレは体育の教師で、神経質なヤツは死ぬほど嫌いである。
空腹を抱え、アタマに血が上ったまま、オレはたすきの回収時に
指示を与え、とりあえずの仕事はこなした。
キンタのツラは見るのもたくさんだったので、無視して職員室に戻り
帰る支度をし始めた。すると戻ってきた矢部先生に
ねぎらいの言葉をかけていただき、少し気持ちが落ち着いた。
その後は帰り道、コンビニでビールを買い、甘いものを食べ
不快感を和らげることに専念した。
常勤講師になったら、キンタは『最大のガン』になりかねない。
上手くかわす方法を模索している今日この頃である。