プー、卒業式にて…「感・極まる!」 | 元教師・ayanamigagaの航海日誌ヽ(`Д´)ノ

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学校批判・文科省批判・その他徒然に。

さすがに、遅刻するわけにはいかないと

思って目覚ましをかけたら10分前に目が覚めた。

独り者らしくコンビニ弁当で栄養補給して、礼服をまとい、

アイロンがけした白いネクタイを結ぶと

オレは、卒業式に招待された学校へ車を走らせた。



到着したのは8時過ぎ。まだ受付も始まってない。

来客用の駐車場にバックで車を放り込み、

主だった先生方に挨拶する。オレは用意された来賓室でなく

生徒指導室』へと通された。


???とは思いつつ、桜の花のお茶をすすっていると

新しい教頭らしき人がやってきた。そしてオレに

「職員席」に座るように言った。

(これが、粋な計らいだったと後で知ることになる)



会場の体育館は冷え込みが厳しい。

とは言え、愛用のミリタリーコートを着るわけにはいかない。

しゃあない、予防に『風邪薬』を飲んでおこう。

オレは、自販機の置いてあるところまで歩いていくことにした。




「なにやっとる、先生。」「久しぶりじゃんどうした?」

1年のときに手を焼いた藤川達だ…ちょいとばかり大人びているが

間違いない。


「来賓だよ!決まっとるがや。」数人が集まって来ている。


オレは薬を飲むから…と自販機に小銭を入れると、藤川が

これで飲むとウマいぞ!と何かスイッチを押した。





ガタガタッ…ゴトッ


出てきたのは

ファンタグレープ」…勘弁してくれ……。



藤川も、ジュースを買おうとしたので「ちょっと待て」と言うと

オレは500円玉を自販機に押し込んだ。



「おごりだよ、まぁ飲め。」と言うと「おぉーっ!」と

声が上がる。ささやかだが、声をかけてくれたほんの

礼代わりだ。


しかし、ファンタで薬はあまりにも甘かった…やむなく

水道水で甘ったるいのを消し去る。そして会場へと向かった。




会場に入るなり、オレを呼ぶ黄色い声が飛び交う。

気持ちはうれしいが…そっちに走って行きたいが…

今日は『来賓』なのだ…うーっ…すまん!

と、思いつつ席に着く。



式典が始まり、校長の式辞で卒業式が幕を開けた。

そして時間を追うごとに、とある違いに気が付いた。




君が代・校歌・・・しっかり歌っている。

仰げば尊し・・・バカなオレは「師」にもかかわらず

一緒に歌ってしまった。

卒業の歌・・・熱唱そのものだ。


学校全体が何か変わっていたようだ。

それを思い知らされたのは、

卒業生退場の指示が出されたときだった。


職員が花道の両側に立つ、その間を

卒業生が去っていく。その顔をオレは見た。

笑顔の生徒もいたが、何人もの生徒が泣いていた。

いいかげんな学校生活をしていたら、涙を流すヤツなんていない。

きっと、全力で生きたのだろう。

そんな奴らにこそ『道は開ける』のだ。




オレは、時間を待って教えた連中のクラスに足を運んだ。

このクラスの生徒はオレがもっとも手を焼いた奴らだ。

大半の生徒が帰っても、このクラスだけはいまだに残って

写真撮影や、寄せ書きをしている。

担任の先生は、すっかり涙ぐんでいた。

オレを呼び捨てしたアタッカーの女子生徒もあちこち

忙しく教室を、行ったりきたりしている。

その中に紛れさせてもらい、オレも写真に数枚の写真に納まった。

忘れられない、かけがえのない時間をプレゼントされたのだ。

オレは大いに満足して、教室を去った。




そして「先生!」の声で我に返った。

目の前には同じく手を焼いた「由衣」「芝」ら5人が並んでいる。

そして、黄色い声で言った。

「先生!ジュースおごってよ、約束でしょ!」

一番焼きを入れ、指導した由衣が叫ぶ。

……今日は卒業式だ…ええぃ受けとれぃ!


おおよ!おごってやる。そこに並べ!!



ありがとー」「うれしー」「サンキュー

来年のこの日にはこいつらがここを去る。

全力でこの一年を過ごしてほしい。



来賓でありながら、生徒にジュース代をむしられ

すっかり仲間入りさせられているオレのような

ヤツはそうはいないだろう。



こんな自分を誇りに思う…ほんの少しだけ。

卒業して言った奴らには、とてもかなわない。





改めて………卒業おめでとう。