旦那の回答を待つ間
ふと自分の体に目を遣ると
私の左側の腕と足は小刻みに震え
手先と足先が冷たくなっていた。


部屋の中は十分暖かく
旦那の風邪がうつった?と一瞬思いもしたが
熱はない。


なんだろう?……


そんな事を考えていると
正面に旦那が向き直し
話し始めた。


待たせてごめんなさい……

Masakiさんの望みに自分は
承諾しなくてはいけないことはよくわかってます。

でも、別居をしたまま
Masakiさんが離婚を決断すれば
もう、一緒に過ごせる日は
今日が最後になる可能性だってあると思います……

正直それは嫌です。

だから
こんな事を言える立場ではありませんが

折衷案として

その1ヶ月、限りなく別居に近い形で
家庭内別居ということではダメでしょうか?



別居OK→クリップGPS追跡アプリの流れで
話がトントン拍子に進む事を想定していた私は
旦那の出した答えに驚いた。



そういう回答をされるとは予想外でした。

ずっとではないにしても
アナタの一緒に居たいという望みは一部叶い
メリットがあるでしょうけれど
私にとってのメリットは?何も無い気がしますが……



はっきり言ってしまえば、Masakiさんの
メリットはありません。ただ、場所が違えど別居の
望みは叶うように考えました。


別居するにしても、寝具や家電など
多少買い揃える必要があるでしょう。


もしそうなれば自分が、別居に必要な
一切の費用は勿論出しますけど、幸いにも
我が家には、子供部屋にする予定だった
使ってない部屋が2つありますよね。


そこを、別居したつもりで
Masakiさんの部屋にしてもらって
必要なものを自分が買い揃え生活して貰うことで
別居に近くならないでしょうか。


一緒だった寝室も別々になりますし
自分が食事とかMasakiさんがいいなら
用意したりします。


家事はまともにやったことないので
教えてもらうか、代行頼むか、自己流でよければ
自分が全部やるでも、きっちり分けるでも
そこは、任せますけど、家庭内別居でも甘えず
別居をしてる意識でやります。


悪い方にばかり考えていましたが
Masakiさんが、まだはっきり離婚と
決断していないということは
離婚しない決断の可能性もゼロに近くても
ゼロではないと思いたいのです。


自分が1本筋が通ったと
真っ当な人間になると
少しでも
それを証明したいです。


Masakiさんから見れば
全然ダメでも、すぐには成果を感じて
貰えなくても、その気持ちがあることだけは
嘘ではないとわかってもらえるように
行動で示し、見てもらうのは
完全別居してからでは難しいです。


だからお願いします。


家庭内別居でも、自分の行動については
逐一、知らせます。
それ以外に自分がすぐに思いつくのは
GPSとか、写真を撮って送るとか
お金を使ったらレシート見せるとか位ですけど
それ以外に何かあれば、何でも言う通りにします。


ゲームも飲み会もフットサルも
やめろと言われるのであればやめます。


自分の自由な時間はこれまで十分に貰いました。
好きなようにやりたいように
Masakiさんは、付き合った時からさせてくれた分
これからは、全部Masakiさんのために
Masakiさんと一緒に過ごすために使いたいと
思ってます。


欲を出せば、家庭内別居の期間に
Masakiさんが行きたいと思ってくれるなら
どこか、旅行でもドライブでも
思い出に残る事をしたいです。


どうかお願いします


……


頭を床にこすりつけたまま
微動だにしない旦那を見ながら
私は、旦那への色々な思いが
変わったんだなと、はっきり自覚した。


どれだけ長く一緒に居ても
その間、多くのものを積み上げてきても
関係ない。


大切な人の裏切り


その破壊力は、凄まじい。


積み上げたはずのものは
まるで、そこに、はじめから
カタチとして
存在などしていなかったように
一瞬でゴミ同然なまでに、
木っ端微塵になっていた。


それと同時にその事がとても切なく悲しく
やりきれない思いだった。


離婚をするにしても
変わってしまったこの負の感情が少しでも減るなら
減る可能性があるなら
試してみてもいいかもしれないと思った。



わかりました。その折衷案に同意します。」 


嬉しいです。本当にありがとうございます


とりあえず、頭を上げて下さい。


頭を上げた旦那の目を見て
続けて伝えた。


ただ、これだけは確かな事なので
忘れないでください。


私が先々、どちらの決断を下した場合でも
アナタが犯した数々の裏切りを
許すことは死ぬまでありません。


それだけは、肝に銘じて下さい。


そして、その事は、アナタが思い考えてる以上に
アナタが押し潰される事になるでしょう。

それでも、アナタが今日自分で言ったその思いだけは
責任を持って、また嘘にならないようにしてください。


はい