金融市場週間予想(2024/2/4)
雇用統計の数値に幻惑される市場
2024年2月4日現在における2月5日から2月9日までのドル円相場の週間収束ポイントは148円13銭となっています。
この予想は過去200週間の為替や金利その他17市場の金融商品を基に統計手法による分析を行い計算した結果によるものです。
週末の米国株式市場は続伸しました。S&P500種株価指数は前日比1.07%高の4,958.61となり、ダウ工業株30種平均は0.35%高の38,654.42ドル、ナスダック総合指数は1.74%下落しました。ドルは対円で148円12銭で終了しました。
今週の収束ポイントは以下の通りです。
ドル円148円13銭 ユーロ円160円51銭 豪ドル円97円13銭 日経平均34,446円 NYダウ37,903ドル 日本国債(10年)0.66% GOLD 2,002ドル となっています。
週末(2月2日)の米国株式相場が続伸したのは「発表された雇用統計が力強い内容となったことを受けて企業利益に対する明るい見通しが広がった(Bloomberg)」ため、ということになっています。さらに「金融当局が早期に利下げを実施することは無いとの見方が広まったものの、株式市場では経済に対する楽観がそれを上回った。」と、苦しい解説理由を付加しています。
個人的には、以下の理由で雇用統計の数値を過度に重きを置いては経済の実態を見誤るものと考えています。何故なら
1.雇用統計は経済の先行きを示す先行指標ではない。
2.発表時のヘッドライン(法人調査)の数値と事前予想数値との乖離にインパクトがあったため、市場に衝撃を与えた。
3.雇用者数は法人調査では大幅増加だが、家計調査では純減となっている。(ダブルワーカーアルバイトの存在により説明が可能)
4.賃金の上昇については、企業の欲しい人材と働きたい労働者の需給のミスマッチに依るもの。
(3のダブルワーカーや4の理由は過去のブログで何度も述べています)
それではインフレが加速し、金利が下がらないにも拘わらず、週末の株式市場はなぜ上昇したか? という疑問に対しては、
今回ハイテク銘柄の決算が終了し、決算発表までは購入できなかったハイテク株の自社株買いが集中したことによる需給上の理由が大きいものと思われます。米国企業の黒字はビッグテックに集中しており、それも大幅なリストラによって成し得たものです。決して米国企業全体の景況感が良いから上昇したものではない、と考えます。
以上、本ブログでは経済指標を冷静に分析していくことが肝要であると注意喚起をしますが、それでは、週末に上昇した金利が急速に戻るかどうか、株式需給の改善により上昇が一服するかどうか、については市場心理の熱気に依存しており、相応の時間をかけて織り込まれていくものと思われます。このまま株式市場が続伸し、さらに大きなバブルとなる可能性も否定できません。
今週9日は日経平均のSQ値が算出されることから海外投資家の買い仕掛け(あるいは売り仕掛け)が行われる可能性があり、警戒が必要です。
以上の相場予想はあくまでも統計分析に基づく安定収束モデルにより推計するものですので、この予想に基づいた投資の結果に対しては一切の責任を負うものではありません