こんにちは。
自分の「普通」は、
相手にとっての「新常識」。
パートナーシップ設計.Labでは、
二人の価値観や認知の違いを、
「性格の問題」ではなく、
「見えている世界の違い」として読み解いています。
感情論だけでは分からない、
すれ違いの理由を整理しながら、
無理して合わせ続けない、
自然な関係づくりをサポートしています。
あの夜のすれ違い、覚えていますか?
ひろは助けようとしていた。
さつきは、ただ聞いてほしかった。
どちらも悪くない。
でも、何かがすれ違った。
今日は、そのズレの正体を一緒に見ていきましょう。
【登場人物】
さつき(女性・31歳・営業職)
(F:108 - S:025 - T:012)
ひろ(男性・33歳・ITエンジニア)
(F:001 - S:125 - T:919)
二人の間に、何があったのか
素質論では、人それぞれに
生まれながらの「欲求のベース」がある
と考えます。
ひろのベースにあるのは──
「無駄を省いて、効率よく目標を達成したい」
という欲求です。
会話でも同じ。
感情や背景といった枝葉はいったん横に置いて、
「で、問題の核心は何か?」
をまっすぐ掴もうとします。
一方、さつきのベースにあるのは──
「お互いの気持ちがわかり合える、安心できる関係でいたい」
という欲求です。
だから会話では、
事実そのものよりも、
「あのとき、こう感じて、こう思って……」
という感情や背景を1から10まで共有することに、
大きな意味がある。
悪意はない。
思いやりがないわけでもない。
ただ、会話に求めているものが、最初から違ったんです。
なぜ、あんなにズレたのか
さつきが話しはじめたとき、
彼女の心の中にあったのはこれだけでした。
「悲しかった気持ちをわかってほしい。
絶対に味方でいてほしい。」
ただ、それだけ。
でもひろは──
さつきの話を聞きながら、
感情の部分をいったん脇に置いて、
「上司との関係に、問題がある」
という事実だけを、すっと取り出した。
そして、彼女の苦痛を取り除くための
いちばん効率的な方法を、ストレートに出した。
「距離を置けばいいじゃん」
ひろの中では、これが精一杯の誠意でした。
でもさつきには──
「気持ちを全部無視されて、
事務的に処理された」
そう届いてしまった。
絶望、という言葉が近いかもしれません。
ズレたのは、性格のせいじゃない。
二人が会話に求めていたものが、
そもそも違ったから。
それだけなんです。
翻訳すると、一気に楽になる
ここが、今日いちばん大事なところです。
さつきの耳に届いた言葉──
「はっきり言い返せば?」
「距離置けばいいじゃん」
これは、さつきには
「冷たい正論」
に聞こえた。
でも翻訳すると──
君が抱えている問題を、最短で取り除いてあげたい。話の通じない上司なんかに、君の大切な時間やエネルギーを無駄にさせたくない。実質的に楽にしてあげたい。
それが、ひろなりの
最大の誠意であり、愛情表現だったんです。
冷たかったんじゃない。
そっけなかったんじゃない。
ひろは、ひろのやり方で、
全力でさつきを助けようとしていた。
これがわかると、
あの夜の景色が、少し変わって見えませんか?
じゃあ、どうすればよかったのか
「じゃあ私が毎回説明しなきゃいけないの?」
「相手に合わせて変わらなきゃいけないの?」
そう思った方、安心してください。
そういうことじゃないんです。
素質は、変えなくていい。
ただ、小さな設計をひとつ加えるだけでいい。
さつきができること:
話しはじめる前に、一言添える。
「解決策はいいから、
今日はただ気持ちを聞いて、
味方になってほしいな」
これだけで、ひろは切り替えられます。
ひろは冷たいんじゃない。
目的を教えてもらえれば、ちゃんとそこに向かえる人なんです。
ひろができること:
事実に切り込む前に、クッションをひとつ置く。
「それは大変だったね」
この一言を先に置くだけでいい。
解決策は、そのあとでいい。
気持ちを受け止めてもらえたさつきは、
そのあとのひろの言葉を、
ちゃんと受け取れるようになります。
二人は、変わらなくていい。
ただ、相手の言語を少しだけ知ること。
そして、小さなルールをひとつ設計すること。
それだけで、あの夜は
全然ちがうものになっていたはずです。
「……いや、そういうことじゃないんだけど」
飲み込まれたままだったあの言葉が、
次は、ちゃんと声になりますように。
あなたのそのモヤモヤは、
相性の悪さじゃなく、
言語の違いだったのかもしれない。
次回も、別のケースから「認知のズレ」を読み解いていきたいと思います!




