レーザーの切れ味~その1~波長 | 『健美同源』ークロスクリニック銀座石川院長のブログー

『健美同源』ークロスクリニック銀座石川院長のブログー

石川院長が自ら体験する最新美容医療やダイエットを紹介。
目指すは「おっさん美人道」 

レーザーの切れ味?

ザックリ!分かりやすくするため、
レーザーと刃物の切れ味を比較して考えてみます。

まず、刃物にもレーザーにも「素材」があります。

刃物の素材は、「鋼(はがね)」です。
切れ味良い刃物には、良質の鋼が必要です。

鉄(Fe)は、自然界では純粋な鉄としては存在せず、
採掘される天然鉄鉱石は、炭素(C)、珪素(Si)マンガン(Mn)りん(P)、硫黄(S)
などを含み、その不純物の含有量と組成により、鉱山で産出される鋼の質が決まります。
中でも、炭素の含有量が重要で、炭素が多くなると鉄は硬くなるのですが、
反面、粘りがなくなりもろくなります。

刃物の切れ味は、
鋼の「硬さ」と「粘り」がポイントで、
そのバランスは刀工の技により調節されます。

ちなみに、鋼に人工的にクロムやニッケルを混ぜると、
錆びない鉄、ステンレス鋼(合金)を作ることができます。
鋼は不純物の種類と比率で、質を調整するのです。


レーザーも
素材である「レーザー媒体」が
レーザー特有の「波長」の元となり、
ちょっと強引ですが、刃物の「鋼」に相当します。


特にシミ治療のレーザーは、
素材の差が切れ味に影響を与えます。

面白いのは、しみレーザーの素材も、
刃物と同じ鉱石から作られることです。


代表的な「しみ治療レーザー」のレーザー媒体
1.ルビー
2.アレキサンドライト
3.YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)

は、天然鉱石ないし人工の固体結晶(宝石)です。

さらに類似するのは、
刃物で鋼に異分子を添加して性質を変えるように、
レーザーも純粋な鉱石の分子で発振されるのではなく、
クロムイオンやネオジウムイオンなどの異分子を添加することで
レーザーを発振します。(レーザーではドープと言います)

刃物もレーザーも
鉱石の分子の結合状態やその形態が、
硬さや粘り、発振する光の波長に影響するのです。


さて、3つの鉱石から出来たレーザー

1.Qスイッチルビーレーザー(694nm)
2.Qスイッチアレキサンドライトレーザー(755nm)
3.QスイッチNd:YAGレーザー(1064nm)

手前から、QYAG、QALEX、QRUBY
$『健美同源』~クロスクリニック院長ブログ~
最近はこの3つのレーザーの使い分けを楽しめるようになりました。


鋼の「硬さ」と「粘り」に類似するのが、
しみのレーザーでは、波長の性質
「メラニンに対する吸収率」と「レーザーの深達度」です。

メラニン(しみ)に良く反応する波長は、
ルビー>アレキサンドライト>YAGとなり、
ルビーが最も切れ味が良いレーザーとなります。


メラニンに対する各波長の吸収率
$『健美同源』~クロスクリニック院長ブログ~

対して、レーザーが到達する深さでは、
ルビー<アレキサンドライト<YAGとなります。

レーザーの皮膚への深達度
$『健美同源』~クロスクリニック院長ブログ~


同じ刃物でも、剃刀と包丁では、違う切れ味が要求されます。
包丁でも、魚、肉、果物と切る対象で使い分けされるように、
レーザーも対象となるシミの性質で使い分けすることができます。

レーザーにはもっと複雑な要件もありますが、
今回は、しみ治療のレーザーを素材による切れ味で比較してみました。


ところで、鉱物を刃物やレーザーにしていく過程は、
異分子を混合して、なにやら活性化するのですが、

人の組織も似ていると思いませんか?

企業や組織も同族経営や純血では、
いずれ、組織の弾力、活性化、自浄能力が欠け、衰退していきます。

多少の異分子を受け入れ、新しい血を入れることも、
企業、組織、ひいては国家の存続に必要なことなのです。