追懐の酒場逍遥「高知 追手筋の一軒家」
高知市の繁華街帯屋町.
追手筋という大通りにお店があります.
かつては焼け野原だったこの地に創業70年余.
ぽつねんと一軒だけ建っていたから一軒家,なるほどね.
激渋な風流造作です.
右側の暖簾をくぐると土間ふうの通路.
なんかいいねえ,こういうのわくわくします.
内側から見るとこうなってます.
なんか股間がぎゅい〜んときませんか.
私はきます,きすぎてアレです.
おティっこティビッちゃいそうです(笑).
店内は正調鉤形カウンターのみ.
その角にはおでん鍋が湯気をたてている.
おでんをいただいてコップ酒.
熱燗はチロリから,女将さんの手注ぎで.
お新香にはしらす干しとレモンが添えてある.
これも土地情緒,旅先での酒はこういうのが愉しい.
言わずもがなのことですがアレです.
これだけで私の旅情は一気に調子の高いものになるのです.
ジャコとお新香の取り合わせ.
これは思いもよらぬ美味しさです.
カチ割ワインですって,かっこいい.
夏だったら飲んでみたいよね,そう思う.
揚げ物からキスフライ.
アジではなくキスというところがいいんだ.
デフォルトで味噌カツ仕立てになってます.
下にキャベツの千切りはお店の流儀でしょうか.
それをキスフライでもろともにこうして.
これも流儀と勝手に思い込むのも愉快です.
焼き飯をお願いするとアレです.
スプーンがこうして出てくるのです.
私の調子はますます高くなってしまうのです.
こういうね,こういう.
こういう焼き飯にはソースというのが私の流儀です.
旅先でいただく焼き飯.
遠いところに懐かしさのある味わひなのです.
妙齢のお嬢さんがひとりで晩ごはんを食べている.
そういう酒場が質の悪かろうはずがないよな,そう思った.
鳥の足付焼が名物だったんですね.
残念,是非いただいておくべきだったなあ.
お店が廃業されたのは2022年12月.
ストリートビューでは建物はまだ残っているようです.
訪れた季節は冬でしたが,そこは高知.
南国情緒の漂う夜だったのが,まだ記憶に新しい.