大菊総本店 @ 都立大学(東急東横線) | CroquettePunchの “ 呑んでたまるか!”

大菊総本店 @ 都立大学(東急東横線)

春めいた陽気の中,近所を散歩する.



街角で不意に懐かしい香りが鼻腔をくすぐった.

これはそうね,デパートの大食堂で感じた匂い.

香りの本質を問われても曖昧な答えを余儀なくされる風趣.



《 大菊総本店 》



一日中たくさんのお客さんが詰めかける.

マイ・フェイバリットな優良街蕎麦屋さんです.

月に一度は足を運ばぬわけにはいかない().



香りの正体はご明察ですね,わっははは.

蕎麦屋のラーメンってのがこれまた侮れない芳香を放つ.

何て言うんでしょうね,専門店とは一線を画す懐旧の香り.

記憶の圏外にあるものが呼び起こされる香り.



スープは澄明,ほのかに獣肉と魚介の出汁が香り立つ.

巷で「魚介系スープ」などと騒がれるずっと以前から同じ味.

当たり前のことを当たり前に続けてきた.

永年勤続,日々精進の正直風味,むっふっふ.



海苔がのっておりません,ナルトも変な形,これ桜かな,うふふ.

懐古式ラーメン基準()ではルックス部門で減点です,でもね.

今更ながらとても重要なことに気付かされたんです.

それは香りです,懐古式には必定たる香りがあるんです.



出汁の香りだけじゃないぜい.

麺の香りってのが大切なんですぜい,ごぞんじ.

啜り込むほどにそこはかとなく潅水が匂い立つ,いいぞこれだ.

黄色味をおびたストレート麺が郷愁の喉越し,ふっふっふ.



それとねもう一つ,アレです.

私などでもスープを残さずに飲めちゃうということ.

オヤツ感覚でペロッといけちゃうのも懐古式の証し.

散歩のついでにツルッと,という境涯がいい,うふ,ふふふ



これだけですっかりと高い調子になる.

散歩の続き,自由が丘にでも行ってみようか.

内なる真情にかかわらず,遊歩道の桜がほころぶのにあと少し.