年越そば...2014年 | CroquettePunchの “ 呑んでたまるか!”

年越そば...2014年

今年もお世話になりました.



本年はこれを手繰って年を送る.

自身の中では最高峰と断ずるかき揚げそば.



年越そば,どこでもいいというわけにはいかない.

例年,必ずお世話になっていた池上の銘店().

残念ながら8月に惜しまれて廃業されました.



どこで年を手繰るかは大きな問題なのだ.

でもね,年末に遠方まで足を伸ばすのは気骨が折れる.

初めてのお店を訪れるのは風情に欠ける.



であるのでね,アレですな.

長きに渡りお世話になっているここ()にする.

この時期,蕎麦屋が立て混むのは承知.

馴染みの客は遅めの時間にやってくる.





こんな品書きが貼ってある古い街蕎麦屋.

特記すべきは皆無,だから他人と同道はしない.

一見の方ではなかなか入りにくいかもね.

私にとっては心魂に触れるお店の一つです,うふ,ふふふ.



おうりゃ,やっぱりお客さんでいっぱいだ.

小さなお店ですがテーブル席は満席ですな.

申し訳ありませんが,一人で小上がりを使わせていただきますね.

ここは特等席なんだよな.



きんぴらは無料のサーヴィスです.

注文した山菜は超大盛りのサーヴィスです,わはは.

これがここのご主人の心意気なんですよね.





お店が混む間はゆるりと盃を重ねる,あくまでゆるりと.

次第に周りの喧噪が別の世界のものに感じてくる.

忙しなかった一年が酒ににじんでくる.

こうして近付いてくる新年の足音に耳を澄ますのが好きだ.



あらま,こんなのまでサーヴィスしていただいて.

進んで仕方がないじゃねえですか,うっははは.

これがここのご主人のお気遣いなんですよね.



やがてお客がすいてくる頃,常連の方がまた一人.

「うぅっ,さぶいぃっ...板わさ,それと熱くしてな」

ねじり鉢巻きの鯔背な大将,職人さんでしょうか.

仕事上がりの燗酒が実にお似合いです.



程なくしてかき揚げそばが届く.

いい頃合いでとどく,絶妙の間で出てくる,馴染んだ店だから.

胡麻油をたっぷり使った揚げたて,丼中でぱちぱちと爆ぜる.



ついでに山菜の残りも転用しちゃう,うふふ.

実はですね,画像では良く解りませんがね.

なんと,かき揚げは三枚も入っとるですよ,うっはは.

これがね,ここのご主人の真骨頂なんですな.



そばをすすって一杯,立ち昇る香りで一杯.

蕎麦屋の空気には酒を誘う艶やかさがある.

この色気に抗える呑んべはそういないよな.





溌剌と爆ぜていたかき揚げが変容してくる.

我が身に出汁を存分に含ませ浸軟を始める.

やがて崩れ,溶けだして丼中渾然一体, むっふっふ.

一瞬とて同じ状態がないのがかき揚げそばの妙味.

すべての経時的変貌を享受して盃を運ぶ愉しさよ,嬉しさよ.



そんな酔狂してるといよいよ年の瀬です.

本年は駄弁にお付き合いくださいましてありがとうございました.

来年もよろしくお願い申し上げます.

2014年12月31日 croquettepunch ♥