【Neuf Les Mille et Une Nuits=ヌフ レ ミレ ユンヌ ニュイ =ニュー 千夜一夜物語 No.703】

《鳴神 かさね 片岡孝夫(仁左衛門) 坂東玉三郎》

 

此れは此れはようこそお越し下されました
手前は浅草は御籾倉に店を構えます〔赤札付き〕の結城屋 滉衛門と申します

江戸時代の変わった職業の第62位は〔江戸の広告業界〕の続きです

「お尚さんも物識りだねぇ
あっしが御伊勢参りに行った時に、こんな話も聴きやした
御伊勢さんから熊野古道の伊勢路を行くと《花の窟=はなのいわや》がごぜえやすよ


《花の窟=はなのいわや》

 

何でも国産みのイザナミが火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産み、女陰を焼いて亡くなり、亡骸は頭に大雷神、胸に火雷神、腹に黒雷神、女陰に咲(裂)雷神、左手に若雷神、右手に土雷神、左足に鳴雷神、右足に伏雷神の8柱の雷神(火雷大神)が生じたとされているんですぜ」

「いやだあ」とお尚は台所から柄杓を持ってきて振り上げ(御伊勢参りに柄杓は必携)
「小雨ちゃんたらいったい誰と一緒に御伊勢参りに行ったのさぁ」

「おや?お尚さんは其所を突いて来なさる
まさかに御犬様を道牽かれとも云えねぇかぁ」

そこで突然熊五郎が
「鬼も雷様も、何で虎皮の下穿き何でやしょう?
まさかにどちらも御出身は上方でっか」

ワッハッハ皆笑い転げました
上方が虎縞が好きなのは伝統でんなぁ

お尚姐さん曰く
「鬼も雷様も(鬼門)に拘わられてるから、鬼門は(丑寅=北東)だから牛の角と虎皮なのさねぇ冨美香さん」

「そうさねもともと雷は「神が鳴る〕から〔鳴神」のことさねねぇお尚さん」

「歌舞伎でも雷様に因んだ演し物の〔白浪五人男〕のひとり 南郷力丸(なんごうりきまる)が着ている衣裳は雲と雷の図柄だねぇ」