明日からまた少し降るらしい。どれくらい降るかは分からないが、静かな雨であってほしいと思う。


空が一面真っ白い雲で覆われている。濁った灰色の部分はほとんどないのだが、こういう天気の日は光が弱いせいで、白い雲もこころなしか調子が落ちて灰色に見える。


気温はそれほど高くないはずなのだが、湿度が高いせいで朝からじとじとと不快な暑さがある。もうずいぶん以前にジャケットは着なくなっていたが、どうやらもうそろそろ長袖のワイシャツも厳しくなってきたようだ。


ここのところ毎朝よく注意して見るようにしていたのだが、以前話した緑の小道に植えられているオレンジの百合が、今朝見たときに一株だけ蕾をつけているのを見つけることが出来た。その蕾はかなり大きくなっていたので、ここまで成長したのは昨日今日の話ではないのだろうと思う。私もよく見ているようで見落としていたのだろう。その一株には三つか五つほどの蕾がついていた。大きくなっていたとはいえ、まだ花を咲かせるにはいくらか時間があるように見えた。おそらく花を開くのは十日ほど後のことだろうと思う。


この百合に限ったことではないが、こうして花々の蕾を見つけたり、芽を出したばかりの若葉を見ているだけで、何故だか訳もなく嬉しくなるのはどうしたことであろうかとつくづく思うものである。べつだん口をきく訳でもなく、笑いかけてくる訳でもないのに、何故だか心にほくほくとした喜びが沸いてくるものだ。この百合にしても、べつに私が植えて育てたわけではないし、一度だって水を与えてやったわけでもない。それなのにその成長の過程が気になって、葉が伸びただの花芽が出ないのとお節介な心配をしているのは全く滑稽である。しかし、そのようなことを百も承知の上でさえ、こうして花芽がつくなどすると嬉しいのである。


まだ青々としているが、その蕾の真ん中辺りはもうぷっくりと膨れていて、俯いたその姿がなんとも愛らしい。例年より今年はいくらか蕾が出るのが遅かったように思われるが、このぶんならどうやら今年も元気な子供のようなオレンジ色の美しい花を見られそうである。