嵐が去って今日は何ともいい天気だ。空は淡い水色で、風も心地よく乾いている。昨日の強風で運ばれて来た空気のせいで、海から遠い私の住まいの辺りまで潮風が届いていた。微かに香る潮の香りが朝のきらきらとした光の中で心地よく鼻を擽った。
いつも通る小道に植えられている百合の葉が日に日に高く伸びていて、その尖った葉の緑を濃くしている。それほど大きな花ではないのだが、毎年オレンジ色の花を咲かせて私を楽しませてくれる。その様子はまるで母親の言うことを全然聞かない、腕白で快活な子供のような印象を与えるところがある。
この道は毎日通っているが、不思議と飽きるということがない。毎日何かしらの発見があるのだ。幅二メートルにも満たない道の両側に様々な植物が植えられていて、季節毎に違った表情を見せてくれる。今の時期は艶やかで瑞々しい緑が両側に黒々と繁っていて、雨が降った翌日の晴れた日などには、湿った緑の陰から土の香りが立ち上っていて、まるで森の中のようなひんやりとした空気が辺りに漂っている。今朝はその緑の中をアゲハチョウやモンシロチョウ、シジミチョウなどが白い朝の光に羽根を輝かせながら音もなく飛びまわっていた。
最近、気温差が激しいせいか、ずっと体調が思わしくなく疲れがなかなか取れなかったのだが、どうやらとうとう風邪をひいてしまったらしい。今日は特に酷い。
私は風邪をひくと、とにかく鼻水が出る体質である。出て来る場所が鼻であるから鼻水には違いないのだが、およそ鼻水とは思えないほどにさらさらとした、まるで白湯か汗のようなものがとめどもなく出て来る。同じような体質の人間にはよく分かると思うが、これが大変辛いのである。
熱でうんうんと唸されるのも、止まらない咳で体力を消耗するのもやはり辛いものだが、この白湯のような鼻水が、止まる気配もなく延々と出続けるというのも、なかなかどうして苦しいものなのだ。こういう状態になると、一日でティッシュを一箱使い切るくらいのことなどはざらである。時にはそれでもおさまらないくらいだ。
そうして摂取した水分が、ほとんど全て鼻から出ていってしまうので、目や肌といった他の部分はやたらと乾いてしまう。特に目が酷い。涙が少なくなるせいか乾燥が酷くなり、白目が充血してしまう。それを少しでも抑えようと瞬きの回数を意識的に増やしてみたりするのだが、その程度のことではこの目の乾きは治まらない。堪らず目薬で水分を補うと一時的に乾燥感は治まるのだが、目薬が涙の油膜の層を洗い流してしまうので余計に水分の蒸発が激しくなり、結果乾燥感が増す羽目になってしまう。全く、悪循環である。そうした理由から出来るだけ我慢はしてみるのだが、たいてい一時間に一回の頻度で目薬をさしているような恰好だ。
とにかく酷くならないうちに直さなければならない。今日は湯舟をはってゆっくり浸かり、体を温めて早めに就寝することにしよう。
しかし、どうにもこの肌のかさつきが堪らない。