雨も久しぶりに降るといいものだ。とりわけ今日のような風もなく静かに降る雨は何となく心を落ち着かせるようなところがある。


人にせよ植物にせよ、成長というものには不思議で神秘なところがある。そのダイナミックに変化してゆく様を直接目にすることが出来ないがゆえに尚一層そう感じられるのだろう。小学生の時に、なかなか芽を出さずにやきもきしたアサガオが、ある朝見るとひょっこり双葉を出していて、それがとても不思議なものに感じられたのを今でもよく覚えている。そうした自分の見ていない間に何が起こったのだろうと思わせるような奇妙な感覚を目にするたびに、私は何かとても神秘なものに触れたような思いがするのである。


人の場合には、成長において極端な程の跳躍が見られることは稀だが、植物のそれにおいては、時折そのあまりのダイナミックさに驚かされる時がある。


つい昨日までは、まだ赤茶色いままだった桜の蕾が、今朝見てみるとほとんど全てのものが赤茶色い蕾を割って緑の若葉を覗かせていた。蕾自体も前の日とは比較にならぬほど大きくなっており、遠目にも枝先に小さい豆でも出来たような輪郭をつくっていた。その様子はまるで枝先に無数のピスタチオが付いているように見えて、私にはそれがとても可笑し味のある、とても愛らしいものに思えた。植物は時折こうして人の度肝を抜くような劇的な変化を見せて私たちに心地よい驚きを与えてくれる。


なるほど、どおりで最近朝起きられないはずである。もうすっかり春なのだ。