年が明けてから初めてマフラー無しで過ごしてみたが、今日のような天気が続けば、もうコートも含めて必要ないかもしれない。いや、むしろ電車の中では暑いくらいで、いくらか汗をかくほどだった。思えばそれだけ暖かくなったのであろうと思われる。
毎年思うことだが、一月を過ぎると、その後夏まではあっという間に時間が過ぎてしまうような気がする。もうしばらくすると桜の季節だが、不思議と待ち望んだその季節は、来たと思った時には早くも過ぎ去った後のような気が毎年のようにするものである。
春は私の一番好きな季節だが、同時に物狂おしいほどに切なく、心を疲弊させるようなところがある。浮き立つような気分と同時に、得体の知れない不安や苛立ちを覚えるものだ。どうしてかは分からないが、この季節は始終胸苦しいような感じが体の内側に渦巻いているように感じられる。それでも、そんな私の心などとは一切関係なしに、春の太陽はしらけるほどにきらきらとした光を私に浴びせかけてくる。こういう時、私にはまるで太陽が愛すべき脳天気な馬鹿者に思えてならない。疎ましく自分勝手だが、それが邪心から出たことではないのでどうしても憎めないような、そういった幸福な者にである。実際、そんな人間にこれまで何度か出会ったことがある。
近いうちに海を見に行きたいと思っている。一年の内で春の海ほど魅力的なものはないと思っているからだ。勿論、これは私の独断である。
二月や三月が一番良い。外海の広い水平線を眺めていると、不思議と渦巻くような得体の知れないものが一時的にもせよ大人しくなる気がするのだ。