もう年末になってしまった。仕事納めもして疲れが出てるのか寒くなってきたからかやたらと眠れる。そして合間に本を読む。

江戸川乱歩が名付けた「奇妙な味」というミステリジャンルがある。好きなジャンルだ。1950〜1960年代に隆盛を誇ったこのジャンル、早川書房には『異色作家短編集』があり、河出書房新社には『奇想コレクション』などのシリーズがある。そして論創社に『ダーク・ファンタジー・コレクション』というシリーズがある。そんな中から一冊。


リチャード・マシスンといえば、小学生の時に映画で初めて恐怖と興奮で震え上がった「激突」の原作者だ。スピルバーグの監督処女作品でもあり、デニス・ウィーバーが主演でいい演技をしていた。マシスンは「アイアムレジェンド」や「縮みゆく人間」「ヘルハウス」の原作者でもある。「ある日どこかで」というタイムトラベルラヴストーリーの傑作も書いた。


今回は短編だ。当時は面白い短編作家が多かった。ストランド・マガジンやウィアード・テイルズがあった頃から小説の活躍の場は雑誌だったし、EQMMのような雑誌も元気な時代となれば当然の話だ。


「今日明るくなるとお母さんはぼくをへどがでるものと呼んだ。おまえは忌まわしいものなのよといった」

処女作「男と女から生まれて」はウィアード・テイルズに掲載されたショートホラーである。幼児虐待的な話かと思いきや、この話は少し違う。日野日出志か伊藤潤二か!この気味悪さ、半端ない。



しかしウィアード・テイルズは廃刊になり時代は科学の文明へと向かい、SFの時代が来る。マシスンもSF方向に進む。シオドア・スタージョンやフリッツ・ライバーも同じように方向転換した。ここが残念。マシスンは、それくらい恐怖描写が上手い。





「ニ万フィートの悪夢」という短編がある。この話、テレビの『ロアルド・ダール劇場』、いや『トワイライトゾーン』で観たぞ。飛行機の窓から外を眺めていると翼の上に化け物のような男がいてエンジンを壊そうとしている。慌ててスチュワーデスを呼ぶと化け物は姿を消している。スチュワーデスがいなくなるとまた現れて破壊を始める。それを阻止すべく、遂に‥という話。


 


表題作「不思議の森のアリス」ゃ「不法侵入」はいわゆるSFものである。SFものは何でもありの設定を作ってしまうので奇妙な味の奇妙感を損なわせてしまうからあまり好きではない。それでも読んでる途中で不安にさせる描写はさすがである。




昼は大塚のやっぱりインディアまで。年末とはいえ、インドカレーの名店は混んでいる。ここはカレー粉ではなくマサラで作ってるから辛さが刺激ではなく香り高い。何言ってるのかよくわからないが、とにかく美味しいのだ。

それでは皆さま、良い年をお迎えください!