昨年北海道東部がら利尻島までオホーツク海沿いを旅行したが、とても気持ち良かった。もちろん自動車でだ。150年前の北海道はどんなだったのだろう。





間宮海峡を臨む。間宮林蔵の探検も凄かったろうなと思う。







利尻島





足寄のオンネトーは美しくてうっとりしたが150年前はさぞや。


「日本紀行」ついに読む。1878年5月から12月まで明治の初めに日本を旅したイギリス人女性イザベラバードの旅行記。上巻は北海道へ向けて日光、新潟、山形、秋田、青森まで。通訳に伊藤という若者を雇い人力車を使って北へ向かう。以前、三谷幸喜ナビゲート、松たか子朗読のFMを聴いてから無性に読みたかった。

我々は150年前の日本を知らない。外国人から見た日本というよりも、我々も見たことのない日本と日本人。我々の思考は寧ろイザベラに近い。これを読むと日本人ではなくイザベラの視点から当時の日本を知ることができる。西洋人の彼女から見た日本人の短所と長所、我々も知らない日本文化の特徴。いちいち面白いので意外と一気に上巻終了。



今は無い大自然のとてつもない素晴らしさは置いといて、「逝きし世の面影」の時も書いたが、昔の日本人がなぜ幸せそうなのか。ここでは既に西洋思想が流入しているが田舎の人や下層階級ほどストレスがなく現状に満足できる当時の日本人が羨ましい。



下巻の前半は蝦夷地でのアイヌとの交流が中心となる。今やほとんど記録に残っていないアイヌの生活がここからわかる。イザベラがアイヌの人々をいたく気に入っていることもわかる。そして、一旦横浜に戻り、京都や伊勢神宮、大津へ行く。日本語のできるギューリック夫人と2人で行く伊勢神宮。イザベラの楽しい気分が伝わってくる。しかし蝦夷地が一番楽しかったのではなかろうか。蝦夷では随行した通訳の伊藤を散々貶したが後半では不在を惜しむ記述も散見される。後半では日本にも慣れてきてどちらかと言うと、日本人との交流よりも政治的、宗教的、国の発展に関する感想意見が増えてくる。そして紀行文のラストでイザベラが日本を離れる時の別れ難い気持ちが文面から読み取れる。彼女が当時後ろ髪を引かれながら日本を発ったように、淋しさを感じながらこちらも本を閉じる。

私もいつか行きたいな、この頃の日本!