『チュニジアに対する渡航情報(危険情報)の発出』
●ケフ県、カセリン県、シディブ・ジッド県
:「渡航の是非を検討してください。」(引き下げ)
●ガフサ県及びリビア国境付近
:「渡航の是非を検討してください。」(継続)
●チュニス県を含む上記以外の地域
:「十分注意してください。」(引き下げ)
☆詳細については、下記の内容をよくお読みください。
1.概況
(1)2010年12月17日に、チュニジア中南部の地方都市シディ・ブジッドにおいて発生した若者1名の焼身自殺を契機として、失業問題等不満を持つ若者を中心とした市民デモが同都市を中心とした各地域で発生し、2011年1月12日には首都チュニス郊外においても死傷者を伴う暴動が発生しました。更に、14日には、首都チュニスでもゼネストが行われ、チュニジア内務省前(ハビブ・ブルギバ通り)ではデモ隊と治安当局が対峙するなどし、市民による反政府抗議運動の波は広がり続け、同日午後、チュニジア政府はチュニジア全土に対し、非常事態宣言を施行するに至りました。
(2)1月14日のベン・アリ元大統領の国外脱出により、憲法の規定に従い、フアード・ムバッザア代議院議長が臨時大統領職に就きました。その後2月27日、ベン・アリ大統領時代に長期間にわたり政権の中核を担っていたモハメド・ガンヌーシ首相(当時)が辞任し、同日新たにカイド・エセブシ首相が就任しました。現在のチュニジアは、暫定政府主導の下、新しい民主的国家への移行の手続を進めています。
(3)政変後、チュニジア各地では、警察による治安維持能力の低下により、暴徒化した市民による略奪行為等が発生しやすい状況も見られ、一時、治安環境も危機的な状況に陥りましたが、その後、軍を始めとする治安機関による活動により、危機的だった治安状況は回復し、現在では、日常における市民活動の平穏は保たれつつあります。その一方で、現在のチュニジアは、元閣僚による「次期議会選挙の結果によっては、軍によるクーデターも予想される」との発言に端を発し、各地方都市において政府に対する抗議デモが過激化し、首都チュニスを中心とする大チュニス圏に夜間外出禁止令が発令された事例に見られるように、ひとたび問題が生じると混乱が拡大するおそれは十分あります。
(4)また、国内情勢の他にも隣国リビアの内戦により、多数の避難民が国境に押し寄せています。現在、難民キャンプのある国境周辺の入国管理は、国際機関の協力を得ながらチュニジア軍により実施されていますが、一部避難民と地元住民間で乱闘等が発生しており、暴徒化した群衆を沈静化させるため、チュニジア軍が催涙ガスを発射する等の事例も見られます。また、リビアとの国境沿いのチュニジア領土内にリビア政府軍と反体制側の衝突による迫撃弾が着弾する等の状況もあり、隣国リビアの情勢にも注意が必要です。
(5)チュニジアでは、2002年に発生したジェルバ島のシナゴーグでのテロ事件以後、テロに対して断固たる姿勢で臨んでいますが、政変後の治安悪化に乗じて、イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダに所属するテロリストグループのチュニジア国内への侵入も懸念されています。2011年5月には、チュニジア国内で治安部隊とテロリストグループとの間で銃撃戦が発生し、双方に死傷者が出る事件が発生したほか、テロリストグループがチュニジア国内に隠匿していたといわれる武器や弾薬などが発見される等しており、今後、これまで以上に、チュニジア国内でのテロに対して警戒する必要があります。
(6)このような中、政変後の暫定政府は、多くの国民の意見を取り入れた新たな国造りを進める一方、治安の回復にも力を注いでおり、一時、職場放棄していた治安関係者の大多数が職場に復帰したほか、新たに警察官3000人を増員する等しており、相対的に、市民生活は平穏を取り戻しつつあると言えます。しかし、政変後、チュニジア国内外の問題は山積しており、今後、一時的にチュニジア国内の混乱が拡大するおそれは十分あり、安全を確保するためは、最新情報を入手するとともに警戒心を怠ることなく、行動に関して十分注意する必要があります。
(7)チュニジアの治安情勢は、チュニジア内政に大きく影響される状態がしばらく継続すると予想されますが、チュニジア内政においては、2011年10月23日に実施予定の新憲法を策定するための議会の選挙(制憲国民議会選挙)が大きな関心事項であり、この選挙の実施時期については、準備等の技術的な問題から当初予定されていた7月24日から10月23日に変更されました。6月8日のチュニジア暫定政府カイド・エセブシ首相による議会選挙実施日変更の発表以降、発表内容に対する大きな抗議活動は認められませんが、今後、選挙の実施過程等が国民の同意を得られながら進められるか注視する必要があります。
※本情報は2012年05月24日現在有効です。