お金の道徳的経済
政治と社会の通貨構成
ヤコブ・ファイニグ
それ以来、金融ごまかしを可能にする制度的仕組みは
ますます定着するばかりだ。
それは、FRB、大量の国債、そして小規模銀行への影響を通じて間接的に
あるいは巨大なバランスシートを通じて直接的に
そして大規模に資金を移動できる少数の銀行を中心に展開している。
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/00031224221131478
１９７４年の金融危機では、FRBは古い危機対応ツールを再利用して
新しい形態の資金を支えた。
レブ・メナンドとジョシュ・ヤンガーは、FRBが法定権限を創造的に解釈し
国債ディーラーを、通貨発行者に仕立て上げたことを示した。
ウィル・ベイトマンの新しい論文から、それでも十分でないときには
FRBが、財務省への直接的な金融ファイナンスに手を染めたことがわかっている。
ダニエラ・ガボールは、近年の同様の変化を
「革命家のいない金融革命」と表現した。
お金に関する異常に長い民主主義の沈黙の2つ目の原因として、フェイニグは
フランクリン・D・ルーズベルト（FDR）が使ったレトリックを挙げている。
これは後に当然のこととみなされるようになった。
フェイニグは、FDRの演説を精読しており
その演説は「道徳的なレトリックと銀行規制を、特定されていないまま
常にすでに存在しているかのような制度（つまりお金）に移植した」
同時に、FDRは通貨の再設計にも携わった。
彼は「中央銀行に圧力をかけ、グリーンバック（政府紙幣）を発行すると脅すことで
そうでなければ購入するはずだったよりも、多くの国債を購入させた」
しかし、「不換紙幣についての真実の瞬間は決してなく、FDRは各ステップを
自身の政策選択を、道徳的なお金の経済から遠ざける形で提示した」
時を同じくして、ルーズベルトは金本位制を講じ、金と貨幣のつながりを
強化するような話し方をしながらも、操作の余地を残した。
彼が、連邦政府の独自の通貨発行権を行使しながら「それを否定」したことは
フェイニグが言うように、確かに「矛盾している」
そして、それが何十年にもわたって通貨発行に関する民主的な議論を
事実上阻止する一因となったという点で、長期的な影響を及ぼしたと本書
これは、ルーズベルト大統領が、金銭の道徳的経済についての議論を
避けたからだけではない。
フェイニグによると、同じくらい重要なのは、彼が金融機関の周囲に
道徳的経済を創り出したことだ。
その金融機関は金銭と隣接しているが、今では一般大衆には
金銭とはまったく異なるものとして理解されている。
特に財政政策と社会保険だ。
最も重要なのは、ルーズベルト大統領が社会保障を設計した際
国民が、自分たちが資本ストックを積み上げ
後で取り崩すことになるという認識を持つようにしたことだ。
フェイニグの話は、ニューディール政策で終わるが
1975年から1981年まで、下院銀行委員会の委員長を務めた
ヘンリー・ロイスの文書などのアーカイブを将来的に調査することを勧めている。
1979年の秋、ロイスは、フロリダ州チョコロスキー在住の市民から
手紙を受け取った。
その手紙には、年金は通貨発行とは別のものだという
フランクリン・ルーズベルト大統領が慎重な理解が要約されていた。
お客様：
恥を知るべきだよ！
インフレを抑制するために連邦準備制度理事会が
公定歩合を引き上げたことを批判するのは
マネーサプライの13%増加と生産量の約2%増加が
2桁のインフレをもたらすことを知らないということだ。
追伸：
もし回答するなら、急速にインフレする経済の中で
定収入で暮らす我々をどう世話するつもりなのか教えてください。
福祉ではないと信じています。我々は働いて愚かにも貯金したので
あなたのような人たちはインフレで、しかも税金で減額できるのです。
今日に至るまで、社会保障と予算を道徳化し
貨幣創造を曖昧にする経済に対するこのような理解は
より平等主義的な政策を阻む役割を果たしてきた。
社会保障信託基金と連邦予算の赤字が、拡大し続けたらどうなるだろうか。
金融システム設計における新しい民主政治の支持者の中には
内部矛盾の拡大をてこにして、貨幣に対する正統的な理解を
掘り起こすことができると期待する者もいる。
財政赤字の神話 ステファニー・ケルトン著
フェイニグは、現代の政治家はフランクリン・ルーズベルト大統領が
できなかったことができると考えているという。
[彼は] […] 重要なのは、将来社会保障給付金を使って商品やサービスを
購入する人々が利用できる実際の資源であることを指摘することもでき
彼は、新しい制度を既存の道徳的貨幣経済と結び付け
人々を、政府口座に現金を蓄えることに依存しているように見える
個人の寄付者ではなく、通貨統治プロジェクトの参加者に変えることもあったはず
通貨制度設計のこの新しい民主的な政治は
比較的伝統的な制度的形態をとる可能性があり
アメリカ退職者協会は 19 世紀の農業同盟の現代版となるだろう。
しかし、通貨制度設計の新しい民主政治が、異なる制度形態
既存の社会的分裂に従わない形態をとることも考えられる。
フェイニグの歴史は、過去の通貨同盟の形成には
創造性と不確実性が伴ったことを示している。
ジャクソン主義者は「異質な同盟の意識的な形成」を達成し
植民地の立法者は「誰からでも」通貨創造に関する提案を募集した。
過去 15 年間、新しい通貨設計に関する最も公に目立った提案は、道徳的立場
高い顕著性、民主的統治の否定を組み合わせたビットコインであった。
しかし、同じ期間に、ますます多くの活動家が、通貨の民主的統治を通じて
環境保護、地域的価値の創造、人種的正義を推進しようと努めてきた。
18 世紀と 19 世紀の通貨をめぐる歴史の反響として
通貨統治に関する異端の考えを広める漫画が現存する。
こうした草の根の取り組みは、エリート層の政治を変えようとする試みと重なる。2020年以降、通貨制度の再設計を目指す専門家3人が
ワシントンDCの要職に指名されたり、真剣に検討されたりしている。
https://www.washingtonpost.com/opinions/2021/02/02/mehrsa-baradaran-occ-racial-wealth-gap/
通貨監督官にメルサ・バラサダンとサウレ・オマロワ
連邦準備制度理事会（FRB)監督担当副議長にサラ・ブルーム・ラスキンだ。
２０２３年春の金融危機では、こうした声が大手出版社でも聞かれた。
つい最近まで突飛と思われていた金融ガバナンスが
民主的な議論の中心になりつつあるのかもしれない。
お金を道徳的価値を付与してしまうことは、非常に危険極まる代物である。
小説家は、お金を道徳的な物語にしてしまうことが、頻繁に見られる。
しかし、貨幣というものは、現在、国家が計算単位として設定し
結果として、その国内における通貨（計算貨幣）となる。
確かに、通貨にはいろいろあって非常に不定形なもの
非常に厄介な通貨は、「国家なき通貨」ユーロが挙がるだろう。
フランスでは、極右とされるルペン２号が躍進し
積極財政への転換を意思表明しているが、利子率が跳ね上がったというニュース
中央銀行と通貨発行権を取り上げられては
中央銀行による金利操作ができないために、財政民主主義が脅かされる。
アメリカでは、石油ショック以来の悪いインフレ退治のため
気が狂ったように利上げを繰り返したが、インフレ率が落ち着かないため
古典派チームやチーム一過性が強硬で、利下げができないでいる。
古典派チームは、今回のインフレを需要に責任転嫁しっぱなし
そもそもFRBの法的任務は、インフレ率と失業率を管理することでなく
物価の安定と完全雇用に見合った形で
貨幣と信用の、長期的な成長を安定させることにある。
現代経済において、様々な資産が貨幣として機能しているため
FRBは、その創造と滅却を独占できない。
そしてその貨幣を道徳化することで
貨幣が、真に必要な人々への沈黙を暗黙的約定にする。
その結果、お金を必要な人々の元へ届けられなくなる。
つまり貨幣の道徳化は、貨幣の沈黙を誘引し、貨幣そのものの死を招く。
日本の右派・保守・右翼は言うに及ばず
左派・リベラル・左翼も、そういう点では同床異夢であり、罪は非常に重い。
財政政策の否定は、財政民主主義の否定であり
つまるところ、民主主義そのものを否定しているのである。
#森永卓郎 氏が 財務省や緊縮派が吹聴する嘘を暴露
— 桃太郎＋ (@momotro018) July 25, 2023
『必要があって増税してるわけではまったく無い。#ザイム真理教 の教義で「増税しないとハイパーインフレが起きる」と言ってるが、日本に借金なんかないんです「貯金してるのに借金で首が回らないんで増税させろ」と訳の分からない理論を言っている』 pic.twitter.com/nXoamCNlF0