初めにふら～とやってきて友人になったにゃんことの関係は
おかしなもんで、よくあるスリスリや
ごろにゃ～んもなく、ナデナデさせてくれるわけでもなく
もちろん抱っこなんてない関係だった。
ニャーニャーと言って、来てやったぞ
ええもん食わせろよ、と言われているみたいで、そそくさと用意していた。
開けっぱなしにしていると、勝手に入って
いろいろと物色して、勝手に去っていく。
友人には、喜んでもらおうと思って、にゃんこ売り場で
極上マグロだのかつおだの、とか書いてあるお高めの品を
探すのが、日課になっていった。
こいつは美味いやろ、と思って出したら
そうでもない感じで食べて、こいつはいまいちかな
と思ったものは、なんか美味そうに食っていて、よく分からなかった。
そんなこんなをしていると心なしか
デップリしているように見えた。
野良猫さんをネコ可愛がりして、たくさん食べさせると
ふっくら、いやたぶん太っちゃうとかもしれない。
中年女性の必殺仕掛人は、オス一匹のためだけに
毎日、毎日、お昼間にやってきた。
自分は深夜に帰宅、なかなか眠れないので
明け方にちょこっと寝て、飛び起きて事務所に向かう日々
たぶん２か月ぐらい休みなしで、ガス欠のヘロヘロ
サービス残業ばっかりだし、けっこう限界で
オス一匹ぐらいいいんじゃないのと思っていた。
なにしろ、ようけとっ捕まえたもんで、数が分からない。
たぶん３０匹以上は、必殺仕掛人の罠にかかって
動物病院送りにされたと思う。
野良猫さんが、悲しい悲鳴を上げて暴れ回る檻を
たくさん積んで運ばれていく様は、ドナドナだったけど
にゃんこの秘密結社、にゃんこの先生、にゃんこの必殺仕掛人が
野良猫さんを片っ端からとっ捕まえて、動物病院送りにする
この構図を、はじめ思い浮かべた時に
頭の中を流れる曲は、チューチュートレインだった。
こうした光景が、ドナドナに変わってしまって
あ～でも、これが現実ってヤツなんだと思った。
野良猫さんの立場になってみると、そりゃ～罠にハマって
酷い目に合うわ、おまけに病院送りで、子どものできない体に
つれ～よなぁ、と思いながら、必殺仕掛人のBMWをよく見てみた。
颯爽とBMで登場した時は、気付かなかったが
なんか変な色、グレーなんだけど
そのグレー感も色あせている。
師匠が送っていってやると乗っけてくれた車は
でけえベンツでピカピカの緑色、シートは革張り
ガソリンスタンドでバイトをしてた時
いろ～んな車に乗って、高級外車をたくさ～ん
みんな外はピカピカで、中は豪華
あれらの運転には、正直ビビった。
なんか給油口のところが、ちょっこと故障したとかなんとかで
その修理費用が、当時１００万円、日本に数台とかなんとか
バイトで車の運転はめっちゃうまくなったのに
車は、大嫌いになってしまった。
必殺仕掛人のBMをもっとよく見ると
やっぱどうもグレーが色あせているから
あ、これ中古車かもって気づいた。
いない時に、こそこそっと中を観察すると
シートもボロボロ、床も剥がれていたりしてボロボロ
あ、やっぱ中古車なんだって分かった。
暴れ回る野良猫さんの檻をどっさり詰め込んで
動物病院へと片っ端から護送すれば
こんなんなっちゃうかと思ったけれど
なんでわざわざBMなの、外車の修理代の方が高いはず。
中古のBMで、にゃんこを病院送りにすると
性能が悪いわりに、高くつんじゃないのって思った。
それなりの価格帯で性能がもっとよくて
修理代もずっと安くすむ国産車が、たくさんある。
経済的に余裕があり、時間もあるから
こういう活動してるんだろなって勝手に思ってて
だからBMなんだと納得させられたのに
にゃんで、こんなオンボロの中古のBMにゃんだと不思議な気がした。
