欧米メディア&識者 絶賛

 

 

 

これまでで最も優れたポピュリズム分析の書

(『イブニング・スタンダード』紙)

 

 

力作だ。欧米の政治が簡潔ながらも繊細に分析されている。

ポピュリズムは、大学を出ていない労働者たちから

 

経済的交渉力、政治的影響力、文化的威厳を奪ってきた

テクノクラート新自由主義に対する反動だとリンドは主張する。

(デイヴィッド・グッドハート『Tha Road to Somewhere』著者)

 

 

欧米社会が、理解に苦しむかたちで崩壊しつつあるように

感じられることはないだろうか。

 

もしそうなら、この本を読むべきだ。

リンドの洞察は非常に興味深く、

 

私はほとんどすべての段落に

マーカーを引いて読んだ。

(ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右に分かれるのか』著者)

 

 

痛烈で、説得力があり、結果的に納得がいく。

現在の政治的激動の時代に関しては数多くの書物が刊行されているが、

 

その多くは的外れなものばかりだ。

ポピュリストを打倒したいなら、まずこの本から。

(マシュー・グッドウィン、ケント大学政治学教授)

 

 

大胆かつタイムリーな一冊。

マイケル・リンドは、現在の政治的背景を知るのに不可欠な解説書を書き上げた。

 

「ハブとハートランド」という概念を通じて地理と階級を結びつけ、

権力はもとより、国政に参加する機会をも奪われてきた労働者階級の人々に、

 

主権と民主政治に訴えることの意義を惜しみなく伝えている

(モーリス・グラスマン英国労働党「ブルー・レイバー」創始者)

 

 

 

素晴らしい。

もしリベラリズムの政治的敗北と、きたるべき資本主義民主主義諸国の

再建を理解したいのなら、まずこの本を読むべきだ

(ジョナサン・ラザフォード、ミドルセックス大学文化社会学名誉教授)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しい階級闘争―大都市エリートから民主主義を守る [単行本]

 

 

 

ある討論番組で、施光恒先生がおそるおそる、

宣伝になって申し訳ないのですが、と断りをいれ、

 

 

この本をぜひ読んでくださいと言ったので、

慌てて書店に駆け込んで、買った。

 

 

 

上記の識者が、絶賛したのは頷ける極上の一冊で、びっくり。

もったいなくて線も引けず、三週目に入ろうとしている。

 

 

中野剛志さんが解説を、施光恒先生が監訳、という豪華さ。

巻頭で中野さんが解説、施先生が監訳者として最後で解説、完璧だった。

 

 

 

 

「啓発されたリベラル・ナショナリズム」という思想

中野剛志(評論家)

 

 

ペーパーバック版への序文

 

イントロダクション 反乱か、革命か

政治・経済・文化の新しい階級闘争

 

 

第1章 新しい階級闘争

 

高学歴上級の管理

労働者階級と上流階級

労働市場の分断

 

 

第2章 ハブとハートランド  ー新しい階級闘争の戦場

 

ハブとハートランドの対比

貿易問題にさらされる労働者階級

 

移民政策をめぐる問題

地元に居続ける人びと

 

 

第3章 世界大戦とニューディール

 

新自由主義の出現

文化的権力を持ちはじめた市民

 

交渉力を高める労働者階級

戦後のニューディール

 

 

第4章 上からのネオリベラル革命

 

「上からの革命」の始まり

企業に権力が集中する

多国籍企業のアービトラージ戦略

 

大衆参加型からエリートによる文化支配へ

上流階級の勝利

 

 

第5章 ポピュリスト ー下からの反革命

 

階級内の右派・左派・中道

ポピュリストによる反乱

 

 

第6章 ロシアの操り人形とナチス

ーポピュリスト有権者を悪者扱いする管理者の手口

 

ロシアゲート・スキャンダル

恐怖症と陰謀論

 

権威主義的パーソナリティ

合理的テクノクラート

 

「~嫌い」というレトリック戦略

寡頭支配という疾患

 

 

第7章 労働者のいない楽園 ー姑息な新自由主義改革

 

現代は無階級社会か?

賃金の差は何で決まるのか

 

ベーシックインカムが招くもの

新しい反独占主義

 

労働者階級の安楽死

管理者の権力をチェックする

姑息なリベラリズム

 

 

第8章 拮抗力 ー新しい民主的多元主義に向けて

 

経済、政治、文化の拮抗力

マイクロデモクラシー

文化的な拮抗力

 

 

第9章 民主的多元主義にとって安全な世界を

 

選択的グローバリゼーション

福祉国家と大量移民

 

労働力としての移民への思惑

少子高齢化国への移民の是非

ゲストワーカー制度の廃止

 

 

エピローグ 「新しい階級闘争」を終わらせる方法

 

民主的多元主義の再構築

 

 

謝辞

 

 

新自由主義改革に反省を迫り、

民主的多元主義の再生を促す書

施光恒 (政治学者 九州大学大学院教授)

 

 

 

 

目次だけ書き出してみたが、やはりいい、鳥肌が立つ。

 

マイケル・リンドは、テキサス大学オースティン校

リンドン・B・ジョンソン公共政策大学院教授で、

 

ワシントンDCにあるシンクタンク「ニュー・アメリカ」の

共同設立者でフェローだという。

 

 

米国における移民問題は深刻で、白人とそれ以外の

人口構成などに、触れるとひどい目に会う。

 

 

ハンティントンは『Who are we?』で、

袋叩きに合った、正直すぎたし、時期も早かった。

 

 

人種問題に触れると、すぐに人種差別主義者とレッテルを貼られ、

ヒステリーにかかり、話し合いもできない状況だという。

 

 

 

その中、真っ向から切り込んでいく真摯な姿勢が、

まずもって素晴らしい。

 

序文の日付を見ると、2020年とある。

ということは、ウクライナ戦争前のもの。

 

 

この戦争の責任は、ロシアではなく、米国にある。

この戦争で、ますます混迷の度が深くなってしまった。

 

 

リンドの指し示す道は、長く険しい。

各種中間団体の再構築は、それぞれの団体を組織する指導者が欠かせない。

 

 

その指導者を育成して、丁寧に一つ一つまとめ

作り上げていくことが、できるのだろうか。

 

 

できるとして、どれぐらい時間がかかるのだろう。

戦争による混迷がこれを早めてくれるのか、霧散してしまうのか。

 

 

一番、問題だと考えているのは、経済である。

ケインズ革命は、たった4半世紀しか持たなかった。

 

 

一世代しか保てず、共産主義革命を防いでくれたのに、

後ろから刺され、新自由主義革命を招いてしまっている。

 

 

民主的多元主義を再構築するには、

経済学の刷新が、必要不可欠だと考える。

 

 

哲学も、ポスト・モダンを焼き滅ぼさねばならないし、

他の分野の学問も、新自由自由主義的なものは一掃しないといけない。

 

 

目指す道は、リンドの方向しかないのだろうが、

その途上の困難さを思えば、果てしなく遠く、

感じてしまうのは、自分だけだろうか。