ブラッド・ピット主演、かつてない殺し屋を演じる・・・
との宣伝文句に、ボクサーの身体がDVDを手にした。
ブラッド・ピットは好きだが、
リバーランズスルーイットしか
お勧めできない。
ということは、この作品も日本人にはお勧めできない。
お勧めできるのは、米国人だけ、それも
年齢層は限られていて、中高年のレンジでしかない。
ありとあらゆるものが、崩壊した米国。
超富裕層しか、自由がない米国。
ブラッド・ピットの最後のセリフはこうだ。
「アメリカは、国家じゃない、ビジネスだ。」
このキメゼリフは、今あまりにも悲惨になっている
米国社会の惨状をよく言い表している。
一言で言って、絶望社会である。
ルソー的な自由では行き着く先は、
米国社会になってしまう。
ありとあらゆるものが、ビジネスになり、
社会が混乱し、庶民が働いても働いても、
その日の飯にありつけない社会、アメリカ。
この絶望的な状況を確かに民主的な運動によって、
変えようとしている米国人も多い。
けれど、彼らは徹底した自己批判ができない。
そこから、出てくる強靭な原理を紡ぎ出すことができない。
だから、安直なフレーズに飛びつき、
それで根治的な解決法があるように常に思う。
そのこと自体がここまで悲惨な米国社会を
作り上げたのだと気づいていない。
今、彼らにとって大切なのは、自由の概念の
原理的な思考である。
ストーリー(宗教)にすがらずに、
普遍的な世界説明(哲学)を求めよと
私は、この映画の作り手に向かって呟いた。