どうしてこのような事態にいたってしまったのか、

なぜムガベは、腐敗したのか、



それに対し、「アフリカ・レポート」の著者、

松本仁一氏は、興味深い見解を述べておられる。



ムガベの腐敗は、彼の推論からすると、

血縁共同体というものが、権力を握ったものに、

集い、たかる、その結果として、もっと富を

必要としてしまい、国政どころではなくなるという。



これは、著者がいうように、どこのアフリカ諸国にも

当てはまってしまう。



それどころか、歴史的な意味合いさえ含んでいる。



単純な国家の衰退とは、権力者とその周縁が、

富の蓄積に走ってしまうことも一因になる。



近代社会の到来とともに、それは移り変わった。

しかし、近代社会の歪みもまた登場し、

ありようは異なるが、人々の間には格差が歴然とある。



私たち日本のような社会において、

ムガベのようなあからさまなやり方は、

実際には、難しい。



だから、富を蓄積していくものは、

巧妙にそれを行い、そして権力と一体化する。



自由主義体制をとっており、さしあたって

民主主義のシステムを使用せざるをえないのは、

我々が強力な思想によってここまで、進んだからだ。



その思想によって、構築されていない国家、

例えば近くには、中国なり、北朝鮮なりとあるが、

それには、相互承認というルールに基づいた

正当性という裏づけがないためである。



ジンバブエは、実際には民主主義システムをとっているが、

これは、到底、自由主義体制とはいえない。



なぜなら、選挙システムが権力側とって

きわめて都合が悪いために、

形骸化してしまっているからである。



ムガベの国連への要請は、我々のような社会システムを

とっている国には、容認しがたい。



やるべきは、国連軍の監視下において

ジンバブエの国民たちの意見が反映される

選挙をやるべきなのである。



その上で、彼らを救うということが、

国連のやるべき仕事なのだと思う。



高級ホテルで、くつろいで、

そこのプールで泳ぐのが仕事ではないだろう。