う~ん、哲学好きなので哲学書を挙げようかと思ったけれど

やめますた。


ありふれた名作ですが、とりあえず泣きます。

身が引き締まります。今の時代、映画化が必要なテーマです。

あまりに良すぎて・・・・

書きながらたぶん、いやもう泣きかけてます。それでは、


男前で何事にも器用な’栄二’と見かけは愚鈍でのろまだが

善良で誠実な’さぶ’、そして魅力的な’おのぶ’が繰り広げる

社会から見放された者たちの心情を、栄二を通して描かれて

います。


この’さぶ’が痺れます。でも、まずは’おのぶ’のセリフから、


「栄さんがどんなに頭がよくって、腕がどんなによくったって、

それだけではどこでも立派な職人になれるってことはない

と思うわ。いまになれば芳古堂じゃなくっても、さぶちゃんや

おすえさんがいなくっても、あんたは立派な職人になれたと

云うかもしれない。でもやっぱり、芳古堂があり、さぶちゃんがい、

おすえちゃんという人がいたことは消しようがないでしょ」


いまは、このような女性は少なくなってしまいましたといえば

セクハラ?

また、こうもいいます。


「人間が人間を養うなんて、とんでもない思い上がりだわ。

栄さんが職人として立ってゆくには、幾人か幾十人かの者が

陰で力をかしているからよ、―さぶちゃんはよく云ってたでしょ、

おれは能なしのぐずだって、けれどもさぶちゃんの仕込んだ糊が

なければ、栄さんの仕事だって思うようにはいかないでしょ」


一番好きなのは’さぶ’が栄二をたしなめるシーンで

このようにいいます。


「栄ちゃんの眼から見れば、おれなんかの云うことやすることは

さぞあまちょろくてまどろっこしいだろう、だけれどもな、栄ちゃん、

一生に一度ぐらい、おれの頼みをきいてくれてもいいんじゃねえのか、

―たとえどんなにえらい人でも、一生に一度ぐらい人の云うことを

きくもんじゃねえのだろうか」


栄二のセリフでよかったのは


「―おれは島へ送られてよかったと思っている、寄場であしかけ三年

おれはいろいろなことを教えられた、ふつうの世間では

ぶつかることのない、人間どうしのつながりあいや、

気持ちのうらはらや、生きていくことの辛さや苦しさ、そういうことを

現に身にしみて教えられたんだ、読本や話でもない、なま身の

このからだで、じかにそういうことを教えられたんだ。」



今の時代、有能じゃなければ人でない、お金持ちじゃなければ

無能だと声高に決め付けられ、縁の下の力持ちを演じなければ

ならない多数を負け組と切り捨て、バカと見切る。

成果主義に賛同しないと自分が無能にみられてしまう。


人にはなぜ努力が必要なのか?ナゼ学ばないといけないのか?

実のところ、能力的にはあまり大差がないからだと思いませんか?

ですからこそ、優秀な人ほど努力する。それを知っているから、

壊してしまうのが簡単だから・・・・・


いまこそ、この時代こそ必要なのは、「さぶ」という至誠の存在では

ないかと思いますた。・°・(ノД`)・°・