先回も述べたが「ブール」はフランス生まれの
マグレブ(アルジェリア・ナイジェリア・モロッコ)の
第二世代である。どの国においても第二世代は
その国の社会問題の火種と化すのがよく知られる
ところだが、彼らを見つめることで現代フランスの
実情にふれることが出来る。
彼らの一番の問題は、アイデンティティの欠如にある。
たとえば、アルジェリア出身者にとっては独立戦争を
戦ったこともあり、第一世代は祖国に誇りをもち、
いつかは帰る夢を大半が持っている。
しかし、第二世代においてはフランスが居場所であるが、
祖国にも誇りを持つ。親の故郷に帰りたい人もいるだろうが
おそらくそれは不可能である。なぜなら、居場所がない。
しかし、完全にフランス人と同化するにしても、祖国に対する
思いもある。第二世代は、親の歴史もひきずっている。
また、フランス人も彼らを依然として移民とみなす。
第二に雇用の問題がある。ひどい地区では25歳以下の
若者の2人に1人が職がなく、日中ブラブラしている。
また、アラブ人比率が95%の地区には、ゲットーが
作られた。
マンゲット地区での事件をあげてみる。
81年、リヨン郊外のマンゲット地区において夏休みに暇を
持て余した若者たちが、計250台の車を盗み、その上で
「ロデオ騒ぎ」に興じ、火をつける。
83年には、警官とのバトルゲームに発展し、はてはゲリラ戦
の様相になり、地区の顔役の一人が銃弾を受け、
極度に緊張が高まる。その後、そのかれが神父に協力を
求め、ブールたちの大行進が始まる。マルセイユから
パリへついたときには10万人以上の大行進で、
ミッテランは彼らと対談し、十年間有効な仕事と滞在の
特別許可証を勝ち取る。もちろん、きちんと法案が議会を
通ったということだが。
しかし彼らの20年後、三分の一は麻薬やアルコールに
はまり、多くは失業状態である。(ノ_-。)
移民問題はあまりに難しい。第二世代はほんとに同化して
いくのが困難で、第三世代になるとましになる。
第二世代は、自分たちの親がコマネズミのように働き、
僅かな給料しかもらわないのを見て育ち、その給料も
増えはしない。自らの職の問題も教育格差をもろに
受けているので深刻だ。また、宗教の問題もある。
さらっとであるが、こうしてみてみると
移民を受け入れていくというのがいかに困難な問題を
抱えていくかがよくわかる。( ̄Д ̄;;
いま、私たちの国は若者の失業率が10%近く
仕事についているものですら、非正規雇用の割合が
コイズミ政権下で極端に増えた。職の不安定さ、収入の
少なさが一層の少子化を招いている。
ともすれば、移民を大量に受け入れかねない状況が
起こりつつあるが、カナリ危険をともない日本社会の
激変をもたらすものなのだとつくづく思う。