LOGAN ローガン
監督ジェイムズ・マンゴールド
出演 ヒュー・ジャックマン
パトリック・スチュワート
ダフネ・キーン 他
ネタバレありです。
兎にも角にも予告編が素晴らしかった。予告編で流れるジョニー・キャッシュが歌うナイン・インチ・ネイルズのHurts。
哀愁漂うボロボロのローガンの姿と、歌詞の内容が見事にマッチ。
アレだけで感動モノだったから、本編に超期待してました。
批評家や観客の評価も高かったので、ハードル結構上げて観に行ったせいもあってか、観終わって少しガッカリというか複雑な思いに。
いや、決して悪い作品ではないんです。むしろX-MENシリーズ、いやMARVELシリーズの中でも間違いなく上位に入る傑作だし、これをローガン最後の作品に仕上げたのは大変意味のある事だと重々承知の上で物申したい。
その要因は、巷で言われているような、過去のX-MENシリーズのトレードマークだった大迫力のCGバトルシーンが激減してるとか、ミュータント同士の戦いが少ないとかではないんです。
単に物語に対する既視感がハンパなかったからなんです。
これレオンじゃん?マッドマックスじゃん?
観たことあるよこの展開。というね。
紛れもなく10作あるX-MENシリーズの中で一番のハードボイルド作品であり、スプラッターな描写満載で、そりゃR+15という年齢制限作品となっているのも頷けるハードさ。
そしてロードムービー的な趣向も凝らされていて、飽きさせない展開ではあるんです。
ただし、いかんせんキャラの掘り下げ方が弱い‼︎
キャラというか、ローラとローガンの関係性の描き方が弱かった気が。
だから感情移入が僕はあまりできなかった。
どちらかと言えばチャールズ(プロフェッサーX)とローラの関係性の方が良く描かれてんじゃん?てなる。
ま、わざと湿っぽくならないように演出したのかも知れないけど、ローガンに対するローラの心の変遷がやや不自然に感じられました。
ローガンやチャールズの性格や個性は、過去のX-MENシリーズを通して熟知していても、ローラは新キャラなもので、そこに絡める時間がもう少しあっても良かったのでは?と。
その点で、同系統の映画レオン完全版、最近では同じマーベル作品で、父と子の絆を描いたガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーVOL.2に較べて確実に色褪せてしまう。
人間ドラマに重きを置いて描いた作品として観ると、どうしてもローラがローガンに心を開く過程の力技感が否めない。
前述の3作品の監督リュック・ベッソン、そしてジェイムス・ガンと比較するとやはり、そこは監督の力量なのかねぇ?
前作のウルヴァリン・サムライとは比較出来ない程素晴らしい作品ではあるのだけれど。
でもこの監督ウォーク・ザ・ラインとかも撮ってるからそれなりに人間ドラマ得意な筈なんだが…
アダマンチウムの弾とか、色々な伏線がモロ過ぎて、先の展開が容易に読めてしまって驚きがなかったのも残念でした。
まさにフォースの覚醒で感じた、既視感が過ぎる現象。と全く同じパターン。
西部劇の名作シェーンオマージュにしても、予想通りのシーンで予想通りの展開になり、ふーむ。となりました。
単体作品でも十分楽しめる作品とか言われてますが、ある程度のX-MEN知識がないと、折角の感動ポイントが真に伝わらない設定になってます。ローガンの本名とかね。だからせめてX-MEN1作目とゼロ、そしてファースト・ジェネレーションくらいは観てから、ローガン観た方が良いと思われます。
でも、でもね。
散々叩いておきながらこんなこと言うのも何ですが、2時間30分弱という長丁場を飽きる事なく観させるのは流石だし、ここぞというラストのあの十字架のシーン。
あれは秀逸‼︎あのシーンでウルヴァリン=ヒュー・ジャックマンの生き様が見事に昇華されていて天晴れ‼︎胸が熱くなります。本当に素晴らしい演出でした。
個人的に期待以上ではなかったけど、X-MEN版ダーク・ナイトとも言えるハードボイルドな作品をヒュー・ジャックマン版ウルヴァリン最終作品にもってきたことは大変意味のあること。ヒュー・ジャックマンお疲れ様でした。そしてありがとう。
追記
エンドロールにジョニー・キャッシュのThe Man Comes Aroundをもってくる心憎い演出にニンマリ。でも欲を言わせてもらえるならHurtsが良かった(笑)