FP制御回路を内蔵した発光器の事を振り返る前提として、幕速の向上したフォーカルプレィン機についても理解が必要です。

 

紛らわしい為ここまで触れませんでしたが、コニカFTAとかニコマートはフォーカルプレィン機ですが、装備のシンクロ接点は「M接点」と明記され、実際にM級の閃光電球が同調します。M接点は元々はレンズシャッター用として設定され、解説書などでもそのように説明されて来ましたが、ある時期から以下のような新たな状況が発生しました。

 

改めてM級とFP級の閃光電球を比較すると、FP級とは発光が長く持続するよう工夫したもので、M級の倍以上は光り続けます(その代わりピーク強度はずっと低い)。しかし、そこまで長い発光を必要としたのはX同調が1/60秒ブラスアルファ位の、幕速の遅い横走りシヤッターを前提にしていたからです。その点、前述のカメラは縦走り(コバルスクエア、X 1/125秒)でシャッター幕の走行時間が短く、M級の発光時間でも足りてしまうのです。

 

良い例として、ニコマートFT2の説明書を引用します。着色を入れましたが、緑枠内がM接点、赤枠内がX接点となる自動切換え方式です。この表を丸ごと記憶するのは困難でしょうが、理屈を知れば覚えずとも判断できることです。

 

  • スピードライト(ストロボ)については現在の常識と何も変わりません。
  • 1/1000-1/250(M接点)でM級が使える理由は前段で説明の通りです
  • FP級もM級と同じ条件下で使えるのは、FP級は発光が必要以上に尾を引いて長いだけで、長い分には同調には構わないからです。
  • X接点の1/125と1/60では全ての閃光電球が同調しないのは、通電から発光開始までのタイムラグを待ちきれない間にシャッターが閉じ始めるからです。
  • MF級(AG球やフラッシュキューブ等)が1/1000-1/250で同調しない理由は、M級よりもさらに発光持続が短く、いくら幕速の速いコバルスクエアでもシャッターが走っている最中に灯の方が消え始めるからです。

もう少し厳密なところの話をすれば、X接点でM級を使用する場合には1/30と1/15の露出差はそれ程ありませんが、FP級ではその差が大きく出ます。これは発光持続時間の違いがちょうどその辺に相当するからですが、一般向けにそこまで説明したものは私は見たことがありません。言わば「FP級はFP接点のあるカメラで高速で使うもの」という理解だけで当時は充分だったということです。

つまり、FP級は確かに同調するのですが、その露出は試し撮りで確認が必要です。