前回は製作したFP制御発光器の総括として、MF級からFP級、クリアバルブからブルーバルブまで全ての閃光電球が使用可能なこと、及び現代のデジタルカメラは高感度なので露出の自由度が高くなったことを書きました。今だからこそ1/4000とか1/8000秒の条件でも使いどころがあるのです。

 

しかし、閃光電球に付属のガイドナンバー表は当時のフィルムとカメラの実力を反映したもので感度とシャッタースピードの記載範囲が狭く、そのままでは今のデジカメ時代には実用的ではありません。例として代表的なFP級、6Bのガイドナンバー表を引用しますが、長らく見ての通りの内容で末期になってISO(ASA)400がやっと加わった程度です。そもそも現代のデジタル一眼では(当時は高感度だった)ISO100でも実用下限のような設定になって来ているのですから、これでは実情に合いません。

 

 

この表中にない露出条件を求めるには、それこそ表のデータを元にして都度計算するしかありません。これが中々面倒で、第一に閃光電球は種類が多いので個別のガイドナンバーを記憶するのはとても無理です。従って化粧箱に印刷された露出表は持ち歩かざるを得ず、その上で表外への外挿計算も求められるのです。

 

閃光電球のガイドナンバー計算には二つの事を知る必要があります。

 

まず、高速シャッター領域では露光中の光度は一定を保つと見なして構わないので、シャッター速度・ISO感度の変化に対してガイドナンバーは平方根の関係だけで考えても充分です。この計算は暗算でも可能ですが、1/4000秒、ISO感度3200などと箱の数表からの離れ方が大きくなるとさすがに面倒、しかも間違える蓋然性が無視できなくなります。

 

さらに難しいのはスローシャッター側で、閃光電球の発光持続時間は有限なため、1/60秒あたりからガイドナンバーの変化に不規則性が出て来ます。しかもFP級とM級ではその挙動が違うのは、元々が経時的な発光特性を作り分けた結果であり当然の差です。その違いが付属の数表で直読できない範囲については、モデル関数化など行って補正計算するしかありません。

 

ここは現代らしく、便利な「データベース&計算手段」が何かしらあってしかるべき、と考えたのが最後のテーマです。