前回紹介した新たな目標である「データベース&露出計算」について。

 

最初はそれをスマホのアプリで作ろうかと考えました。日々の持ち歩きの便を第一とするならば、それが最良に違いありませんが、そこはここまで「発光器」などという超絶にレトロなハードウェアに拘って来たのです。敢えて古い電卓を改造して専用機を作ることに挑みました。

 

素材にしたのは東芝製1970年代(液晶の普及前)の蛍光表示管式電卓で、電池が漏液したため放置していたものです。単三電池を4本も必要としましたし、厚みも相当にある機種なのですが、表示器を入れ替えるにはこの位の大きさは必要です。その電卓の外側とキーボードだけを流用し、一枚の基板にまとまっていた心臓部を自作の基板と入れ替えることとしました。

表示する情報量は電卓よりは各段に多く必要なので、英数字で16文字2行を表示可能な有機ELの表示器を採用します。また、通常の電卓としての四則演算機能は必要とも思われないので、キートップは一部を組み替えて+/-を使い易い場所に置きました。

 

 

改造機の中央に見え隠れしているICが全情報を載せるマイコンのCPUです。

後はひたすらにファームウェアを「書いてはデバッグ」の繰り返しですが、情報処理は専門外の私にとって手強いのは「例外処理」です。例えばキーを複数同時に押したとか、無意味な順でキーが押されたとか、計算中にオーバーフローが起こるとか、

そのような場合にフリーズするようでも使い物にはなりませんが、一番悪いのはまことしやかに嘘の結果を出すことです。これらのリスク対策に私が使った頭は全体の3分の1はあったかも知れません。恐らく機器組み込みソフトの専門家にとっては定石のような回避手順があるのでしょうが。

電卓が高価だった頃らしく(定価\19,800)、上等な部品と多くの手数を掛けた内部を見てさすがに「壊していいものだろうか」と少し迷いました。電卓にもコレクターが存在するので惜しむ声があるかも知れません。一方では発光器には「電気屋ならやらないはず」という内部の構造が多いのです。東芝もナショナル(旧ウエスト)も電機の看板ですが、写真用品の事業部は他と交流のない独自風土だったのかも知れません。