前回までの検討で「FP制御発光器の形態」は大体は見えてきています。

 

・発光器からは2本のケーブルが出る。

・1本は手元のリモートスイッチ。これでシャッターを切る(フォーカス付)

・もう1本はリモートシャッター用のカメラ端子へ。

・発光器の回路がウェイト時間経過の後、閃光電球に自動的に通電する。

・カメラ本体のX接点とリリースボタンは使用しない。

 

発光器に内蔵する回路はシャッターと閃光電球、双方のタイムラグから決まるウェイト時間を計時する役割を担い、かつ、カメラの交換に備えそのウェイト時間には可変の機構が必要です。

 

最初はアナログ回路で作れば部品が少なく済むと思いましたが、これは考えるほどに「簡単なものこそ難しい」、の典型です。タイミングの自動制御とは、言い換えればある条件で勝手にトリガするということです。つまり暴発のリスク要因を洗い出して回路設計だけで対策する必要がありますが、それには自信が無かったのでマイコンでデジタル制御にしました。暴発は眼を痛めるやら火傷するやらの事故にもなりますが、マイコンを使えばプログラミング次第で、「リリースボタンを押しながら電球を挿入しようとしていないか?」などの安全判断も取り入れられます。

 

この検討は私にしては珍しく実寸での試作です。部品点数は多くなりそうですから駄目出しで置き場に困る部品が土壇場に出ては困るからで、まずは最小構成で蛇の目基板と手配線で組んでみました。素材は高電圧版と同様に改造に充てられるスペースが最も大きいナショナルPB-5で、CR2032ホルダーが縦置きに収まる深さがあったとは、ニコンBC-7での苦労が嘘のようです。

 

 

本機による1/500秒でのFPシンクロ動作は一発で成功し、ここまでの各種の改造歴の中でもクライマックスだったと記憶します。

 

その後、各部詳細の検討を経て完成形を決定しています。