X接点しかないカメラで閃光電球が全く使えなくもありません。しかしM級やMF級の製品の箱書きを読んでも「X接点の場合は1/30秒までのスローで同調する」以外の説明はないはずで、ましてFP級では言及さえないと思います。

 

ストロボならば「トリガから発光開始して発光終了まで」が数千とか数万分の1秒という一瞬で終わりますが、閃光電球ではその全過程に少なくとも30msは要します。従って「X接点とシャッター速度1/30秒」で使うということは大雑把に言えばシャッターが開いている1/30秒のうち前半はただ発光開始を待つだけのタイムラグ、後半が実際の露光時間で、これが「スローでならば同調する」の根拠です。

当ブログで紹介してきた各種の改造品も「電子カメラで使えるように」が目的でしたが、その「使える」の意味は電子カメラにはX接点しかない以上、利用できるシャッター速度も大体1/30秒までの制限下にあります。

 

前回の話の通り、X接点の信号からFP接点のタイミングは絶対に生成できないので、リリースボタンがミラー/シャッター機構に機械的にリンクしたカメラではX接点しか無いようでは高速シャッターへの閃光電球の適用はお手上げです。

しかし、電気的にリモートでシャッターを切れるカメラならば、これまで述べてきた難しいタイムラグ対策も可能です。その場合、X接点はあっても使いませんし、カメラ本体のリリースボタンでの操作も出来なくなりますが、リモート端子への信号、および閃光電球のトリガ信号を適切な時間差をつけてカメラ外部で生成し、それでシャッターをリモート端子から切れば良いのです。

超絶古くはグラフレックス等の同調機構はまさにそれで、フラッシュガンのスイッチで電磁石を駆動し、シャッターのノブを引っ張っていました。

「FPタイミング調整機能を発光器に内蔵する」、というのが次の改造計画です。

 

閃光電球のタイムラグ値は大体統一されていますが(さもなくばFP接点やM接点を規格化できない)カメラの方のシャッター・タイムラグ(リモートスイッチのオンから実際の露光開始まで)は使うカメラによりけりです。最大100msあたりまでを可変幅に想定すれば良いかなとは直観しましたが、シャッター・タイムラグは非公表データなので、実際のカメラを即席の回路で測定してみました。

 

添付写真で見える8個のLEDのうち消灯している箇所が二進法の数字を示し、その値は「5」と「4」。これはニコンDfのタイムラグが54msと判明したシーンで、繰り返してみても再現性は非常に良好でした。

 

 

これを例に取れば、シャッターが開くより10ms早く閃光電球に通電するにはシャッターへの信号を出してから44ms後にトリガすれば良いので、その時間差を再現性良く計ることが中心となる機能です。