衆院本会議は8月2日、農林漁業の成長を支援する農林漁業成長産業化支援機構法案(6次化ファンド法案)を賛成多数で可決。今会期中に参院を経て成立する見通しとなりました。6次化ファンドは、国と金融機関など民間企業が共同で出資するファンド「農林漁業成長産業化支援機構」を創設。農林漁業者と加工・流通業者など合併企業に出資や貸付を行います。6次化ファンドは、生産から加工、流通、販売を一手に担う6次化産業の成長を支援。政府は、近代化が遅れていた日本の農林漁業の成長を最重要課題と捉え、今年度は6次化ファンドヘの出資金と貸付金に300億円の予算を計上しました。
農水省:ばらまき政策を反省?最終的に出資金を回収
官民共同で出資する機構の創設の目的には、農林漁業者の所得確保と雇用を創出する成長産業となるよう支援することも盛り込まれました。農林水産相が定める支援基準に関しても、農林漁業者の主導性を確保する事項が明確化されました。同機構による支援決定には、国の関与も強めることが加えられ、支援対象には6次産業化法で認定を受けた事業体に限定されました。
同機構は、自治体や金融機関、地元企業などが創設する「地域ファンド」を通じて6次産業化へ取り組む企業へ出資。これまで補助金ばらまきで終わった政策と異なり、最終的には保有株式を出資先企業や第三者に譲渡し回収するしくみです。
10兆円産業へは企業の参入が不可欠
機構には金融や商社など20~30人のスタッフを集め、地域ファンドと共同で出資先にコンサルタントを派遣し、継続的な経営支援を行います。失敗すれば公的資金は回収不能となるだけに、コンサルタントの目利き、能力がファンド成否を決め手となり、農林水産相の「責任」も問われます。
農林水産省では、6次産業の市場規模を現在の1兆円から10年後には10兆円規模に拡大。農業の活性化を目指しますが、それには多くの企業を農業へ参入させ、大規模化、効率化を図らなければなりません。
農地法:6次産業化進めながら、農地には加工・販売施設、トイレも設置禁止の怪?
中小企業など株式会社は、これまで農地を取得できないという農業参入への障壁がありましたが、平成21年12月の農地法改正によって全国どこでも農地を借りることが可能となりました。以降、中小企業などの農業参入は増加し始めましたが課題も残ります。今年4月に農林水産省が実施した「農業への企業参入」について農業関係者や、企業、大学などの交流会では、農地に加工・販売施設やトイレを設置できるよう企業から要望が相次ぎました。6次産業を推進する一方で、必要な施設は農地法により禁じられているのが現状。企業の農業参入には、ファンドなど金融支援と同様に規制緩和、優遇措置などが必要になるでしょう。