と言ったら、おそらく熱心なファンに怒られ、殴られることだろう・・。
「らいおんハート」(00年)はどうした「世界にひとつだけの花」(03年)はどうしたと。
でも最高傑作は「夜空ノムコウ」(98年)だった、というのは、一致した意見ではないだろうか。
少なくとも、歌手としてのSMAPのピークは、96年の森且行の脱退時までだったと思う。
(それ以後の「青いイナズマ」「ダイナマイト」も個人的には好きだけど)
今や、SMAPが6人だったことを知らない人が多くなったのは、仕方ないとは思うが、
この時代のSMAPの音楽は、本当に面白くて格好よかった。
90年代半ばに、音楽マニアがSMAPを聴いたり、
外資系レコード店や、FMのJ-WAVEで特集されるなんてとは
それまでのジャニーズでは、考えられなかったことだ。
今でいう、ステマ的な行為があったのかどうか、それは分からないしどうでもいい。
重要なのはその当時、実際にSMAPの音楽が格好よかったからこそ、
多くの音楽ファンに受け入れられたり、様々なアーティストがカバーしたりしたのだ。
Wool/SMAP

¥4,384
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この「WOOL」は、SMAPの良さが一番良く出ているベスト盤だと思う。
2枚組で、アップテンポな「WOO」サイドと、ミディアムな「LOO」サイドに分かれているが、
2012年の耳で聴いても、古さは感じられないのではないか。
もう一つの魅力は歌詞のユニークさがある。
ポップなメロディーで彩られているので、ぱっと聴くと見逃してしまうが、
かなり辛らつで、風刺が効いている曲がある。
あの大ヒット曲「がんばりましょう」も、最初は無責任なポジティブソングだと思っていたが、
よく聴いてみるとこんな感じだ(ちなみに「WOOL」には未収録)
かっこいいゴールなんてさ あッというまにおしまい
星はひゅるっと消えていた また別の朝だった
すごいリッパになって すげーいい服着ても
モロにころべば痛い そんなもんだよね
Hey Hey Hey Girl
どんな時も くじけずにがんばりましょう。
Hey Hey Hey Girl
かっこうわるい 朝だってがんばりましょう
Hey Hey Hey Girl
いつの日にか また幸せになりましょう
Hey Hey Hey Girl
かっこうわるい 朝からとにかく始まる
Hey Hey Hey Girl
仕事だから とりあえずがんばりましょう
Hey Hey Hey Girl
かっこうわるい 毎日をがんばりましょう
(がんばりましょう)
野音のライブライトが消え ガヤガヤ人が流れていく
夜空みればビルの中にポツポツ明かりが残っている まだ誰か働いてる
ふっと父親の顔が浮かんだ
そういえば そう売店でもコツコツ人が働いて
ステージでも裏側でも ゴチャゴチャ働いてたんだよなぁ
そんなことはあたりまえで
みんな一人一人いろいろ大変なんだよ
明日のために働こう ちょっと眠いけど
自分のために働こう それが人の美しい道だ
(働く人々)
将来について考えたら くらくら立ちくらみがして
やっぱり今お腹がすいてるみたい uh yeah yeah yeah
ファーストフードの店でひとり 新ネタバーガーかじって
なんかまぁちょっと幸せ感じる
一寸先はah ha ha 闇だとかいうしさぁ
どーにかなると信じたら その日をこなしましょう
GROOVIN'BABY 幸せは小さくていいもんです
きれいな夕焼けだ ほのぼのしながらいきましょうyeah
GROOVIN'BABY たぶんオーライ
それでここまで来たんです
願いはたかがオーライ どんよりしないでいきましょう yeah
(たぶんオーライ)
肩のちから抜けと敵に言われ ムッとして肩がこる
いっそ夢やポリシー持つのヤメと投げたら ツキが戻るのかも
きびしい世の中 抱きしめたいひとに
情けないところ見せたら うんざりかと聞いてみたいよ
keep on 人知れずバトル メゲる自分と戦いつづけろ
Hold on 内側のバトル 誰も気づかないで
(人知れずバトル)
キャッシュ積んだだけじゃ 買えやしない夢もあった
汗も流さないで 楽ばかりしようとしてた
Come Up Tomorrow 甘ったれになったココロ
そう殴り飛ばせばいいから Oh・・ ずっともっとつよく生きよう
Sharara・・ 大声で Woo、Woo、Say My Lady Yeah!
メジャーな気持ちにさせて 胸の中熱く
(Major)
といった具合だ。当時はなかなか理解できなかったが、
いざ自分が社会人になって30歳も過ぎると、この歌詞が胸に刺さって仕方ない。
なんちゅう歌を歌っていたんだSMAPは・・。
これはもう音楽スタッフの、目利きの鋭さに脱帽するしかない。
そして作家陣(林田健司・山崎まさよし・スガシカオ他)の起用に唸るしかない。
また、このベスト盤を聴くと、歌手としてのSMAPを支えていたのは、
木村拓哉と森且行の二人だった、ということがよく分かる。
決して抜群にうまいとはいえないが、特に森且行の声は非常に個性的で、味わい深いものがある。
そう考えると森且行の脱退は、かなり痛い出来事だったと思う。以降のSMAP人気が上昇し続けたとしてもだ。
収録曲の中に、この二人だけで歌っている「雨がやまない」があるが、これは隠れた名曲。
他にもシングル曲以外でも、高いポテンシャルを持った曲が溢れている。
SMAPとしてのベスト盤は、他にも何枚かあるが、
一番魅力にあふれているのは、この「WOOL」だと思う。
2000年代に入ってからは、このアルバムに見られるような音楽的な冒険が、
希薄になっているようで、ちょっと残念だ。