先月２名，小学生が入塾し，今年度の小学生の算国クラスは定員となりました。
春先は新型コロナの影響で塾の方はどうなるのかな？と多少心配しましたが，今ではありがたいことに去年と全体の塾生数はほとんど変わらない状況となっています。中２は例年よりちょっと少ないんですけど，逆に中１は去年より多く，何よりうれしいのは，あれだけ長期に渡る学校の休校や自粛ムードで異例尽くしの年度始まりだったのにもかかわらず，今年の春から今現在まで塾をやめた生徒は一人もいないことです。塾生すべてのご家庭に対して，感謝とともにご期待を裏切ることのないようにと改めて身が引き締まる思いです。
おかげさまで今でこそ各学年，年度の途中で定員となるくらい，多くのやる気ある塾生の方に通っていただいていますが，クレスト開校から３年余りは経営的に本当に大変でした。
開校初年度は最大で４５名の塾生が集まりました。塾生数だけ見ると１年目にしてはまずまずかもしれませんが，当初は自分以外に非常勤講師を複数名雇っていたので経済的な余裕はまったくありません。その頃，不景気だったこともあり求人広告を出すと結構な数の応募がありました。群馬大学医学科の学生，東北大学教育学部出身の元教員の方，英語ペラペラの私立高校の現役英語教師の方など，こんな田舎の個人塾の割には学歴・経歴的には優秀な面々が時間講師として働いてくれました。
さぞかし充実した指導が提供できたと思われるでしょうが，結論から言ってまったく上手くいきませんでした。
時間講師では意思の疎通も十分にできませんし，何より生徒に対する責任感と熱量が自分とはまったく異なります。個別指導の塾ならば状況はまた違うのかもしれませんが，集団指導の塾では講師の責任感と熱量がなければ生徒を引っ張り上げて指導することは不可能です。あたりまえですが指導スキルも自分とは雲泥の差です。医学科の子は医者になることが目的ですし，アルバイトの時給以上のものを求めることはできません。元教員の方や現役高校教師の方も，学校での指導経験がいくらあっても，塾での受験指導は別物です。アマレスとプロレスくらい戦う土俵もルールも違います。
塾１年目は，入塾する子の多くが勉強が大変な子ばかりです。成績の良い子なんて滅多に入りません。まあ，できない子を教えるのが塾の仕事と言えばそれまでですが，できないレベルが私の予想をはるかに超えていました。それまで公立トップ校の受験クラスをずっと指導してきた自分にとっては，ほとんど初めて指導するレベルの子ばかりです。
中３生で５科目の合計が１００点台の子なんて何人もいましたし，一体どこまでさかのぼって教えればいいのやら途方に暮れました。中３生で１次方程式の解き方から説明し，英語は中１の英単語から教え込むという力技で，海の水をバケツで必死にくみ出すような際限のない徒労感を感じました。でも自分もプロですから，成績下位の子でも定期テストでは入塾前には考えられないような結果を残すことはできました。塾１年目はさながら「できない生徒の最後の砦」「勉強が苦手な子の駆け込み寺」みたいな感じでしたね。
もちろん目標に向かって頑張る真面目な生徒もいましたが，「宿題はやらない」「塾は無断で休む」「やる気はまったく感じない」という塾生も少なからずいて，「塾の帰りに友達と深夜まで遊んで帰った」とか今では信じられないような問題行動を起こしたりと，塾なのに勉強の指導よりも生活指導の方に神経を使いました。本当に当時はよく怒りましたね。そんな手を焼いた塾一期生の中３生数名が，数年後，塾にやってきて自分にネクタイのプレゼントを買ってきてくれたこともありました。まあ，そういう優しい一面もあるんですけどね(笑)。
とにかく色々な意味で大変な塾１年目でした。
そして，初年度の入試結果。
それまでの苦労が報われることなくボロボロ。
惨敗です。
かつてないほどの敗北感と挫折感を味わいました。
合格発表の日，仕事が終わった深夜，榛名まで車で飛ばし，夜空を見上げながらちょっと涙が出そうでしたね。悔しくて。
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