私の息子は現在,家を出て県外の国立大学に通っています。
子育てを通じて学んだことはたくさんあります。その中でも特に強く感じたことが二つあります。一つは,「決して親の思い通りにはならないこと」と,もう一つは,「子供は自分とは別の人格であること」です。
子育てには悩みはつき物です。性格や勉強面,生活態度など,常に親の期待に応え,手のかからない優秀な子も中にはいるでしょうが,大多数の子は親の思い通りには行かず,絶えず親の手を煩わせ,悩みの尽きない存在だと思います。
子育てにおける「親の思い通りにいかない」,「悩みの尽きない」理由を突き詰めて考えてみると,それにはある者との比較が根底にあるように思います。親が勝手に思い描く理想像との比較,親が憧れる模範となる子との比較,子供の周りの友達や知り合いの子との比較,出来の良い親戚やきょうだいとの比較,過去の自分との比較など,無意識のうちに自分の子を誰かと比較し,その見えない基準と照らし合わせて,一喜一憂していることが少なくありません。
大人になってから痛感することを子供に教訓として話しても,経験値の少ない子にはなかなか理解が及びません。親の心配とは裏腹に,子供が呑気に構えていたりすると,頭によぎる言葉は「親の苦労も知らずに」だったり,「だれのおかげで生活できていると思っているんだ」だったりします。
私の場合は,息子が高校生になったあたりから,「子供は自分とは別の人格」だと受け入れ,だから「自分と異なる志向や考えを持っていて当たり前」と思うようになって多少気が楽になりました。そして,目に見えない偶像との比較を抑え,余程目に余るとき以外は口を挟まず,「本人の言動は,すべて本人の自己責任」という姿勢で見守っています。
古代中国の思想家である老子の言葉に「魚は味が染み込むまで箸でつつかない」という教えがあります。これは,魚を煮るときに,途中の味が気になって,何度も箸でつつけば身がくずれてしまうので,味が染み込むまでは我慢して見守ることが大切だという意味です。ある程度の年齢になったら,「親は子供を信じて,じっと見守る」ことの方が得策な場合が多くなります。時には歯がゆく,不安になったり,腹を立てたりすることもあるでしょうが,そこをぐっとこらえて時間が解決してくれるのを待つことも重要だと,昔の自分の子育てを振り返りながら,今強く感じているところです。
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