シューベルトのあまりにも短い生涯の最晩年に書かれた
これら3曲に、今回もう一曲、やはりこの時期に書かれた
件名の弦楽四重奏曲を私は初めて聴くことになりました。
旧年末のLP盤中古セールでコレギウム・アウレウム
演奏のを見つけて買ったものです。
冒頭、分散和音に乗って歌い出される憂いを感じるもの
悲しい旋律が印象的です。これが力強くなる部分もありま
すが、幾度となく繰り返されて全体の曲想を支配している
ようです。
第2楽章は、紛れもなく「ロザムンデ」の有名な間奏曲の
旋律で始まります。この四重奏曲に「ロザムンデ」の副題
がある訳が分かりました。中間部は普通なら対照的な旋
律になるところですが、この曲ではあまり変化のない趣き
です。
第3楽章はチェロのミレミの3音が不気味です。一体何が
始まるのか? メヌエットにしては異例に思える物憂い旋
律なのですね~。
終楽章は、これまでの暗さを拭い去るように、まるでこちら
にほほえみかけているようです。
「死と乙女」が第14番の弦楽四重奏曲で、今回のは第13
番。解説によると、この曲によって初めてシューベルト独自
の音楽が完成されているとあります。
まだ一回聴いたに過ぎませんが、しみじみと味わい深い情
感を覚えます。
「憂愁のヴェールをかけて、優しくまた烈しく歌う第1楽
章。
「ロザムンデ」から転用されたメロディが何か失われた
ものの慰めであるかのように懐かしさをつのらせる第2
楽章。
メヌエットという古めかしい形式を使った第3楽章からは、
遠い昔が幻影のように浮かび上がってくる。
終楽章は(略)躍り上がってくるリズムが力強く、悲しみ
をこえて少なくとも生きている喜びをかみしめるほど充足
感に溢れている。」
これはコレギウム・アウレウムの演奏について書かれた解
説文です。 う~ん、巧く言い当てていると思いました。