エルガー 交響曲第3番 | 音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

クラシック音楽に目覚めたのはSP時代だった。知人から借りたレコードが
きっかけ。後にLPを集めたりしたが、時に感動して涙した頃が懐かしい
な~。/

主に四季の花や自然の風景などビデオ撮りした動画に、出来るだけ自作のBGMを付けて載せたいと思います。

ここらあたりで、エルガーの第3交響曲が聴きたくなった。
この交響曲については、すでに2、3回取り上げているが、
普通とはやや違った特別の想いがある。


初めて知ったのは、もう10年以上になろうか。退職後に
パソコンをなぶり始めて、自分でなんとかメールとかインター
ネットが出来るようになった頃に、たまたまこの曲のCDの
情報を得たのが発端であった。
その時の驚きと、ネットの世界に開眼した初体験の興奮は
忘れられない。
もしもパソコンを始めていなければ、もしかしてこの第3交響曲
は未だに知らないでいるかも知れない。

LPに永くこだわって、CDの入手枚数は片手くらいの頃だったと
思う。勿論CDプレーヤーもなかった。それで、この交響曲を
パソコンで聴いたのだったが、なんとなく最初から惹かれるもの
があった。


今日はこの曲を2番目に買ったポール・ダニエル指揮のもので
聴いた。
スピーカー・ケーブルを新しいものに換えてからこの曲を聴くの
が最初の所為もあって、情報量が若干多く複雑なように感じたが、
この曲のなんとも言いようのない魅力たるは、一体何ののだろうか
と考えてみた。


そこで思い当たるのが、この曲に「はまる」ようになった当時の心
境ではなかったろうか。退職後のやりたいことがいろいろあって、
そこには具体化したものもある一方で、そうでなくて、ただ漠然と
した思いだけで、実現には手の届きそうもない、しかしかすかな夢
だけが心の隅にあるような・・・。
そんな気持ちになんとなく訴えかけるものを、この曲に感じたので
はなかったか。

第一楽章の2つの主題、そのどちらにも憧憬の感情が聴き取れる。
時にやさしく、時に烈しく心に迫る。展開部の大太鼓の響きにピッコ
ロの高音は胸をかきむしる。


第二楽章は漠とした希望が見え隠れするようなもどかしさを覚える。


第三楽章は不思議な音楽。茫漠とした夢幻の無限な世界のようで。


第四楽章。はっと目覚めたかのように、野望に向かって猛然と走り
出す。明るく開ける展望があれば、胸を締め付けられるような切ない
憧憬が涙を誘う。果てしない野望を追い求めて・・・そんな風に聞こえ
る。 そして、最後の謎めいて意味深に消えるような終り方。
エルガーの断片的なスケッチを基に苦心の末完成させたAnthony

Payneが、曲の最後をどうるるかに関して言った言葉を、以前に書い

たものだが、もう一度転記しておこう。

「エルガーの死と自分が果たし得た作曲との年月を埋め合わせる

夢想的世界へと導く音楽にしたい。この直感を信じて筆を進めた」

 

 演奏:Paul Daniel 指揮 Bournemouth Symphony Orchestra