フォノ・アームを交換して、一応その効果を感じると、さあ、
いろいろ昔聴いたレコードを聴きたくなる。
よ~く何度も聴いた盤から、先ずC.P,E.バッハの
オーボエ協奏曲変ロ長調を。1974年録音のPhilips盤で
大変潤いのあるいい音であった。曲も非常に楽しいもの
だった。
今日聴くと、その潤は勿論のこと、力強さと弾力さが増した
ように聞こえて快活そのものだった。
次に、大バッハの「コーヒーカンタータ」を取り出す。
コレギウム・アウレウム合奏団の演奏で、バッハにこんなに
楽しい音楽があるのかと、これも何度も聴いたもの。
実は、これがすこぶる良かった。
大体、装置をいじった時、音の変化を最も感じるのは、
レコードに針を落として、最初に鳴る音だ。この音でおおよそ
8割くらい分かる。
針を落としてアンプのヴォフュームを回して、急いで席に
着くか着かないかの瞬間、期待と不安が入り混じって、
心が落ち着かない時である。
その時に鳴り出す音が殆どを決する。
今日の「コーヒーカンタータ」で、テノールが向上を述べる
その声がそうだった。
聴き進むにつれて、それは生の声という実感だった。
特にバス(ジークムント・ニムスゲルン)にそれを感じた。
勿論、アーメリンクの美しさは言うまでもない。
そのアリアで伴奏のフルートの高音が天井を突くように
聞こえてはっとする。
それより何より、各フレーズの後に聞こえる共鳴が、伴奏の
音の共鳴音・・・チェロが顕著・・・と共に美しいのだ。
ふわ~っと、室内に拡散する、その空気の音がなんともいい。
声と伴奏の混ざり具合の響きもこれまでと一味違う。
こうなると、音が良い悪いと言うよりも雰囲気の良し悪しと
言うべきか。
ソプラノのアリアの後の親子の対話の声の生々しいこと!
そして、最後合唱の伴奏音が、フルートと弦が一緒になって、
美しい共鳴音で残る。ふわ~っと消えていくんだ。
しか~し・・・。その後で気が付いたのだが、オーバーハング
の寸法が狂っていた。短過ぎた。正しく調整すれば更にいい
音になるか!??・・・(苦笑)