- ワルター(ブルーノ), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, シューベルト, ベートーヴェン
- 「田園」&「未完成」
このブログを始めた頃は、SPの思い出をよく書いていたもの。
そう、レコードはみな知人からの借り物でしたが、ベートーヴェン
はワインガルトナーの「運命」とトスカニーニの第七。
ワルター/ウィーン・フィルの演奏は、シューベルトの「未完成」と
ブラームスの第四。
以来、ワインガルトナーはCD数枚を持っているものの、トスカ
ニーニは未だに買わずにきました。
ワルターはニューヨーク・フィルの「未完成」とシューマンの
「ライン」以外は全部コロンビア交響楽団。
ところで、先日 どなたのブログだったか、上段画像のCDを見た
のがきっかけで、つい数日前手に入れたワルターがウィーン・
フィル時代に残した名演2曲が入ったCD(未完成と田園)を聴き
ました。
「未完成」は思いのほか、取り立てて言うほどには感じなかった。
もっと懐かしい音、演奏かと予想したのに・・・。
それで、今日は多分自分にとって初めてであろうワルター/ウィーン・
フィルによるベートーヴェンの交響曲「田園」の感想を書くことに。
第一音が鳴ると同時に、いや~、すごいノイズでした。
未完成はそれほどでもないのに。 どちらも録音年代は同じ
(1938年)なんですがね~・・・・。
まあ、ノイズはともかく、演奏についてはテンポが早いです。
ワルターのベートーヴェンは偶数番号がいい、と言うのが昔からの
定評で、それはワルターの演奏が温和なことと関係が深いのだろう。
しかし、である。 今日聴いたウィーン・フィルでは、温和と言うより
情熱的、といえば言いすぎかも知れないが、爽快、活発。
音楽は生き生きと弾んでいます。
ヴァイオリンの旋律は伸ばし過ぎず、さっと切れる。
それがクレッシェンドした直後にさっと退ける時など、その感じが
絶妙で聴いていて心地よい。
このCDの解説には、1934年から38年にかけてのウィーン・フィル
時代のSP録音について「極めて柔らかい女性的な」とか「貴族的で
甘美な音色」とかの言葉があるが、私にとっては、あまりそのような
音に聞こえなかった。ノイズが大きいせいかも知れないけれど、これ
は確かに昔聴いていたSPの音。ただ、今のようには大きい音量で
は聴けなかったし、ヴォリュームを絞って小さくする方が雰囲気が
出るようにも感じられる。
概して、コロンビア響との演奏よりは、もっと若々しさとエネルギッシュ
な感じに思えました。
そんな中、第2楽章の歌に満ちた美しさがとりわけ印象的だったです。
全体に大きなノイズと音質の悪さが残念。それと、第一楽章と終楽章
に一箇所づつ、音を継ぎ合わせたような不自然な音がありました。
参考までに、コロンビア響のLP盤・・・輸入盤で反りが大きいのであま
りかけてなかった・・・を久しぶりに聴いてみました。
いや~、やはりテンポは遅い。おっとりと、は適切な言葉でないかも
知れないが、落ち着いておおらかです。穏やか、なだらか、丸みをお
びて・・・・。
ウィーン・フィルではフレーズの中にもクレッシェンドと、さっと弱奏に
退けるなどの起伏があったのに。
弦のスタッカートでタタタタという伴奏は控え目。
CDでは大変はっきりと耳についたのに。
農民たちの踊りは、前ほどの情熱は薄い。 出だしからしておとなしい
こと。
まあ、全体に大きな、大きなスラーがかかっていて、その中に暖かく包
まれている演奏、そんな風に聞こえるのでした。