大分オーケストラの曲を続けて聴いてきて、タンノイの音にも慣れ
ました。25年くらいも前になるが、「どんな音します?」と聞いた時
の店員の返事に、「おとなしい」の言葉が思い出される。 確かに
刺激的な音はない。
この辺で一度室内楽を聴いてみようと思って、中古LPセールで
買った曲でまだエントリーしていなかった最後の一枚、ベートー
ヴェンの初期の弦楽四重奏曲を聴きました。
そもそもベートーヴェンの弦楽四重奏曲と言うと、最初に聴いたのが、
ラズモフスキー第3番でした。青春の多感な時期のせいもあってか、
それの感動は衝撃的とも言えるものだったように思います。
それがベートーヴェン中期の傑作であったことから、私の関心はそれ
以降の、主に後期の弦楽四重奏曲へと向かいはしたものの、決して
初期の弦楽四重奏曲へはいかなかったのです。
ところで、年末の中古セール。数あるダンボール箱の中に「作品18」
を見つけ、デンオンのPCM録音。 2番と4番の入ったスメタナ四重
奏団である。これなら間違いなかろう、せめて一枚くらいは持っていて
もよいだろうと、やっとその時初めて初期の2曲を手にした訳です。
まあ、これも私のレコード・コレクションの偏りと貧弱の一つであります。
さて、この2曲を続けて聴きましたが、正直あまりいいとは思えません
でした。が、特徴的なのは4番の方かと思いますね。
何よりも調性がハ短調。なんだか聴く前からむずむずしました。(^。^)
第1楽章冒頭の旋律はまぎれもなく短調。 どこか聴き慣れたような
旋律でもあり、何かに似ているようでもある。 甘酢っぽくて歌謡風で、
あまりベートーヴェン的でもないな~、なんて思っていると、途端に
強いアクセントの和音の連続。
さらに展開部ではかなり劇的な趣きになっている。
第2楽章には驚いた。緩徐楽章でなはなくてスケルツォなのだ。
単純な旋律でフーガのように聞けるところも多い。
もしも晩年のベートーヴェンなら、大フーガに仕立てたのではないか
との気もする。
でも、一寸繰り返しが目立って単調だな。
第3楽章 これまた予想が裏切られた。今度こそ緩やかな叙情的な
旋律が歌われるかと思ったのに。
またもやテンポは割合早くて、第1楽章冒頭の旋律から派生したように
思える短調のメロディー。 淡い悲しみと不安な情緒をにじませている。
解説にはメヌエットとある。そしてスケルツォ風とも。
トリオの後では、焦燥感が加わっている。
第4楽章も早い。最も早い、当然のことだけれども。 結局全楽章とも
早めのテンポで貫かれているし、第4楽章冒頭の旋律も先の旋律と関
連ありそうに聞こえて、まあ楽想の一貫性をかなり感じました。
緩やかな楽章がないので、全体にこせこせして落ち着いた趣には欠け
るようでしたけれど・・・・。
そうとは言っても、ハ短調。 うまく言えないのだけれども、短調の奥深
みはありますね。 一寸独特な感じ。