グノー 交響曲 第2番 変ホ長調 | 音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

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クラシック音楽に目覚めたのはSP時代だった。知人から借りたレコードが
きっかけ。後にLPを集めたりしたが、時に感動して涙した頃が懐かしい
な~。/

主に四季の花や自然の風景などビデオ撮りした動画に、出来るだけ自作のBGMを付けて載せたいと思います。

おお、これはいいです!

第1番に続いて完成されたという、つまり両交響曲の作曲時期が

あまり変わらないのに、第1番とは格段の違い。

4日前の記事をお読みいただいた方ならお察しのとおり、正直

言って、私は第2番を聴く気はしなかった。

しかし、折角図書館で借りたので聴いておくことにしたのだ。


ハイドンとともにベートーヴェンへの接近をより強く思わせている

(解説)とあるとおり、第1楽章冒頭のアダージォは、まさにベートー

ヴェンの第七を思い起こさせる。

第1番では弦楽器が全く面白くなかったのに比べて、第2番では

弦、特にヴァイオリンがよく活躍して、よく歌う。

そこへ木管が間奏的に、或いは対旋律的に使われてヴァイオリン

の旋律との絡み合いがいい。 またそれとは逆に、管が主旋律を

歌って、ヴァイオリンが対旋律を受け持つこともある。

要するに、弦と管の役割が明確で 聴いていてとても快適だし、色彩

感が第1番より優れている。 何よりも旋律が全曲を通して美しい。

更には、強弱があって、曲の流れに起伏が生まれ、適度な緊張感

がある。 時折 ティンパニが効果的にアクセントを添える。


と言うわけで、ともかく快適で面白く、退屈しないのだ。 いい曲です!


第1楽章  アダージォの序奏はベト第七とよく似た感じ。

弦に加わるホルンや木管の響きがとてもよく、情感がある。

第1主題は快活で、第2主題は優雅な踊りを思わせる。そういう対比

も第1番より はるかに優れている。


第2楽章  ピアニッシモからクレッシェンドしていく出だしは幻想的で

それに自然に繋がる第1主題は弦の和音で奏されて幻想的な情趣に

富んでいる。 それにオーボエなどが加わっていく様は 先述のとおり

美しい効果を上げていて、妖艶とも言えるようなムードをかもし出す。

第2主題は、どこにでもありそうな旋律だが美しくて、後はこの2つの

主題の変奏もしくは展開と思われるが、ヴァイオリンと管の織りなす

綾が妙で次第に情感を高め、フランスの甘い香りが一杯漂ってくる。


第3楽章  スケルツォ感がよく出ている。 第1番はただの3拍子に

過ぎなかったのに。 

前回、管楽器による小交響曲を引き合いに出した音楽のスエスプリ

の一端を垣間見る感じもする。

全体をティンパニがよく引き締めて、トリオとの対比もまあまあ。


第4楽章  ヴァイオリンが活躍してよく歌うのは先述のとおりだが、

繊細さと程よい劇的要素が共存し、全体を第4楽章らしい明るい歌の

雰囲気で満たしている。

コーダは、あれっ、と驚くような独創性を聞かせて、機知のある終わり

方である。


なお、序でにLP盤も聴いてみたが、第1楽章はしかつめらしくて重々

しくてつまらない。 もし、最初がこれであったら後は聴かないでおい

たかも知れないな。

第2楽章も、独特の幻想的香りが出ていない。

第4楽章では、繊細感やニュアンスよりも、旺盛な活力に富む演奏と

なっている。 ただ、驚いたのは コーダの独創性を聞き逃してしまった

ことだ。 気が付けば平凡に終わっていた! これって、何故だろう?


こうしてみると、マリナー指揮のCDは、この交響曲のエッセンスを

見事に捉えて、巧みに表現し得た名演と言えるのかも知れない。


  CDの演奏:マリナー/ジ・アカデミー・オヴ・セント・マーティン・

          イン・ザ・フィールズ