4月も半ばになり、新入生や新入社員はフレッシュな気分で新しい
生活を始められていることでしょう。
そんなフレッシュさが一杯の曲が、
ビゼーの交響曲 第1番 ハ長調ですね~。
覇気に満ち、生気と新鮮そのものの出だしの音に、春のうたたねも
いっぺんに目覚めることでしょう。
それとは対照的な第2主題のやさしさの中にも、初々しさが滲んで
いる。
なんと、まだビゼーが17歳のパリ音楽院在学中に習作的に書かれ
た作品なのだ。本当に若々しい曲、そこが魅力的でいいね。
しかし、これの初演はビゼーの没後80年も経ってからだという。
ワインガルトナーがこの曲に興味を見出して指揮をしたと。
おお、ワインガルトナー!! 私には殊の外懐かしい指揮者。
ベートーヴェンの第五「運命」をこの指揮者の演奏によるSPレコード
で聴いたのが、クラシックに取り付かれた最初のようなものだった。
第2楽章は序奏に続いて、オーボエの哀愁に満ちた旋律は美しい。
心にしみじみと語りかけてくるようだ。
中間部の弦の長い旋律も、先の旋律の美しさに劣らず、あこがれを
秘めたような美しさを感じる。
第3楽章はスケルツオ。溌剌とした旋律と、対照的に甘い旋律とから
成るが、こうして聴いてくると、ビゼーは美しく流麗なメロディー・
メイカーであることが、そして若くしてその才能の遺憾なく発揮されて
いることが分かる。
第4楽章は細かく早いパッセージで始まるが、第2主題の旋律とリズ
ムが特徴的に思う。甘さと戯れの混ざり合った、と言うか、巧く言えな
いが気の効いたユニークさが面白い。
ともかく明るくて溌剌とした元気さに溢れるこの交響曲を聴きながら、
新入生、新入社員たちに、希望に満ちた新しい門出を祝い、大きくは
ばたいて将来への躍進にエールを送りたい。
演奏:ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(LP)