ヴァイオリン・ソナタの「スプリング」、昔はよく聴いたものです。それに
「クロイチェル」ソナタ。こちらは、ちょっとしんどい気もしたが・・・・。
その点「スプリング」は気楽に聴けたなあ。メロディもすっかり覚えて
しまっていた位だ。 しかし、LP盤は一枚も持っていない。
CDになって、やっと一枚。
ところが、ところが・・・それも一度も聴いていなかった!
春だから、そのCDを初めて聴く。
曲名は正確には、「 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第5番
ヘ長調 Op.24 「スプリング」 」
フランチェスカッティ/カサドジュの演奏。
第1楽章 極く弱く、やさしく始まる。 ヴァイオリンとピアノの旋律が交
代して、ヴァイオリンが春のそよ風のように、強弱のデリカシーさ。
次第に感情が高ぶって、春の喜びが吹き出る。 こんなに烈しく表情に
富む音楽だったとは!
そして、コーダの始まるヴァイオリンの音の鋭く強烈なこと!
昔聴いていた時は、こんな強い表情を知らなかった。多分装置の違いに
よるのだろう。
第2楽章 極めて穏やかに奏される中に、繊細さと、時に抑えがたい
感情の表出を聴くことが出来る。とても美しい楽章。
第3楽章 表情が露骨なほどに出る。高音はきついが、澄んだ美しさ。
第4楽章 主旋律がヴァイオリンとピアノに交互に目まぐるしく移る。
その移り変わりが鮮やかで、見事な共演と言うにふさわしい。
聴き終わって、昔の記憶がすごく偏っていることに驚く。
第1楽章は最も鮮明だが、2楽章は記憶と言えるものはゼロに等しい。
第3楽章は思い出せた。しかし、こんなに短い楽章だったのか?
第4楽章はぼんやり、雰囲気が思い出せる程度。
まあ、半世紀近い昔のことだから、こんなものなんだろう。