鋸山のでき方 | ZEN房総博物館

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シーカヤックやマウンテンバイクツーリングなどアウトドア活動で出会ったものたち。
主に房総で活動していますが、興味深いものたちであふれています。
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 2021年5月22日放送のNHKブラタモリで鋸山のことをやってたけど、大きな誤りがありました!
鋸山は太平洋プレートの圧力からの褶曲で生まれたのは間違いない。
褶曲で出来た山というと、盛り上がったカーブの山のとこの背斜(はいしゃ)を想像します。番組でのイラスト解説もそうだった。
そこに誤りが!





 実は鋸山は褶曲が谷のように下へのカーブ向斜(こうしゃ)の部分に固い地層があって、周りが削られて残った地形なんだな。
だから実際はもっと巨大な山だったかもしれない。
(模式図のピンクに塗ったトコのイメージ)

鋸山が東京湾に没する明鐘岬、ピンクに着色した部分が山頂部。




 鋸山は特殊な山で、周辺麓から(横から、南と北から)見ると鋸の屏風のように見えるけれど、縦から見ると(長軸方向から)こんもりした山に見えます。
写真は東の高宕山からの遠望。丸っこいのが鋸山。ぜんぜん鋸山に見えない。みんなに言ってもニワカニは信じられない。山脈状の細長い山です。


硬い岩盤だけが浸食を免れた山なのです。
その岩盤が切り出されている房州石なのです。



明鐘岬の沖からカヤックで鋸山を見るとこんな感じ、よーく見ると左右の地層がそれぞれ右と左に画面中央に向かって傾いてる向斜構造がわかる写真。

ZENのマウンテンバイクツーリングやシーカヤックツーリングではそんなことも解説しながら房総の奥の奥に行ってます。



 地層の傾きへの圧力はスゴイもので、ジワジワ圧力がかかって、そこにあった化石も大きく変形してしまいます。
鋸山周辺での大型の巻貝オキナエビス化石もこんなに潰され変形していた。
オキナエビスのフィギアはエポック社「地球生命紀行 生きた化石シリーズ」。深海に棲む原始的な貝なのです。
現生標本は館山沖の東京湾海底谷で取れた物。

 今回番組の鋸山の解説の先生は地学の方ではなく、考古学者先生でした。
一般的に考古学者と地質学者・古生物学者(化石)を混同しているけれど、「考古学は、遺跡・遺物によって人間の過去を研究する学である」という定義で、言わば文系です。
地質学や古生物学は理系です。なので畑がまったく違うので、褶曲で出来た山は盛り上がった物と認識するのは常識的な範囲です。
ところがそうじゃない、ってところに地学の面白さがあるのですね。
同番組は地学の面白さを紹介してくれてる稀有な番組なので、今後も楽しみにしています。