メガバンクもデビットの時代になるのか? | Mr.ICのCard Payment & System Labs

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カードのあれこれ、決済の世界のあれこれ。
語りたいままに語ります。不定期更新ですが。
元カード会社システム企画や銀行のカードの経験から業界を俯瞰します!

昨日記事を書き終えて、ネットをチェックしたら、タイトルのように感じました。
ということで、それについて、今晩は書きます。

現在、メガバンク、もしくは、そのグループで、ブランドデビットを出しているのは、
・三菱東京UFJさん。



・りそなグループ(りそな銀行、埼玉りそな銀行 etc)





でありますが。
銀行本体がライセンスを獲得して発行しておりますね。
言うまでもありませんが。

2016年10月下旬予定で。
・三井住友銀行さんが参戦予定。
もちろん、ブランドは「VISA」ですが、イシュアとしては、グループの三井住友カードさんと棲み分けをして出すそうです。
ブランドデビット=イシュア=発行銀行という当たり前に思えた構図が変わる訳で。



また、これの裏の考え方として、餅は餅屋的な分業をしているということ。

既存の2行のメガバンクさんのブランドデビットの場合には、確かに分業はしてます。
・三菱東京UFJ銀行さんは、ビザプロセシングサービスを利用している。
・りそなグループさんは、プロセッサー専業のキュービタスさんにデビット業務は委託している。
でも、ブランドデビット=イシュア=銀行という構図は崩さず、あくまでライセンスは、銀行さんにありき、なのです。

もう一つ、三井住友銀行さんのようなケースの地銀さんがあります。
西日本シティ銀行さん。
ブランドデビットとして、VISAとJCBを出すのですが、デビット業務はグループ内のカード会社の「九州カード」さんに委託という形で行います。



九州カードさんは、VJAのメンバーでもあり、JCBのFCでもあります。
つまり、足回りについては、既存の仕組みを流用して、親銀行の西日本シティ銀行さんにデータを連動させる、ということですね。
当然、システム開発の費用は、安く済むし、既にクレジットで一体型カードのノウハウもあるので、各種の調整や連携も安心ということで。

三井住友銀行さん、及び三井住友カードさんは、今後、VJAのメンバーの会社にこのスキームを広げていくというスタンスのようですね。
九州カードさんは、VJAの中でもかなり特殊な位置付けな独自性を持った会社さんなので、興味深いのですが。
その例として、イーバンク銀行さん(現在の、楽天銀行さん)とも提携して一体型カードを出しておりますし。

さて、そうなると、どこかいない?と思うでしょうね。
そう、「みずほ銀行」さん。
クレジット一体型カードでは、セゾンさんと戦略的提携により、UCブランドとセゾンブランドのクレジット一体型カードはありますが。
ここにきて、セゾンさんの大株主であったはずのみずほ銀行さん。比率を下げたのです。
そして、Oricoさんへの出資比率を上げ、戦略的提携もして、その中でカード事業もある訳でありまして。ただ、現時点で、クレジット一体型カードを目指すことは、リリースされてますが、この波の中に取り残されるという選択を彼等はするでしょうか?
また、現在のユーシーカードさん(ブランド管理や加盟店事業会社)も株主ではありますから、様々な推測ができるのです。
シナリオとして。
みずほ銀行さん、というよりは、UCブランドでクレジットをしているFCやBCのカード会社を持った銀行さんへ、三井住友銀行さんのようにするのか?
自らは、Oricoブランドで、ブランドデビット、ということもありうるわけです。
ただ、UCブランドという道もあります。
その場合、ブランドデビット=イシュア=Oricoさん?UC(セゾンさん)?ということが想定されます。

今の動きからしたら、みずほ銀行さんだけがやらない、という選択肢は、かなりチャレンジングなことで、追従しないと、差をつけられるという危機感はあることでしょう。

ブランドデビットの場合には、プロセシングについては、より取り見取りに候補になる委託先は、あるので、少ないパイの奪い合いとなりかねないでしょう。

メガバンクさんが終われば、当然関係のある地銀さんへ売り込むし、売り込みたいライセンスを持った会社さんは、一番巨大なマーケット、そう「ゆうちょ銀行」さんをターゲットにしてるはず。
しかしながら、現在は、三井住友グループとJCBさんがやや有利、それはクレジット一体型カードをしているから。
伏兵は、かつての一体型カードで一大勢力のあった、そして、旧郵政さんとのパイプのあるセゾンさんあたりが様子を見てるのかもしれません。
どのカード会社さんもブランドデビットのノウハウとシステムには間違いのないものがありますから、何か大きなうねりを感じたりするのです。
ゆうちょ銀行さんだって、海外ATMでの現地通貨引き出しは欲しい機能のはずだし、クレジットが嫌、でもデビットならいいかな?年会費や特典次第では!という予備軍はいるはずなので、さて、どうなることやら??ということです。

今日はデビット関連のお話を続けてしまいました。

2016.08.16
Card Payment & SystemLabs Mr.IC