【THE TRUMAN SHOW】

 

『トゥルーマン・ショー』はジム・キャリー主演で1998年に公開された映画である。

ジャンルはコメディー /SFだが、設定の面白さの中にも真剣に「人生」を考えさせられる場面が多い。

 


本当は去年のお盆休みにこの映画について書きたかったのだけど、あの時はジョージ・オーウェルの小説「1984年」についてのブログ記事で時間と力が尽きてしまった⋯。

 


この年末年始休暇の後半になってようやく、「今こそ再チャンス!」と思って実行。

 


久しぶりのブログ更新だけど(注:もう一つのギター・ブログは続けている)、まだ人生においての『迷走』を卒業できているとは言えない状態だ😓


「自分らしく生きよう」と人生を楽しんでいるあなたへ。
あるいは「そうありたい」と願っているあなたにも、この映画はオススメ♪

もちろん「世の中、嘘ばかり」と気づいているあなたは、この映画を目いっぱい楽しめるでしょう😁




ただし⋯、以下『ネタバレ注意』!

(今ここで結末を知りたくない方は、先に映画を観てくださいネ!)

 

 

【あらすじ】

 

小さな島、シーヘヴンに住んでいる保険のセールスマン、トゥルーマン
彼は生まれてから一度も、この島を出たことがない。

しかし、実は彼以外の住人は全て俳優

この島はテレビ番組用の大掛かりなセットで、空はドームで覆われている。星も太陽も月も、建物も海も人間関係も、ニュースも事件も事故も、全てが偽物(フェイク)なのだ。

そのことを知らないのは世界中でただ一人、トゥルーマンだけ。
 


 

 

【主な登場人物】

トゥルーマン・バーバンク
保険のセールスマン

メリル
トゥルーマンの妻で看護師

マーロン
7歳からの親友

ローレン(本名はシルヴィア)
トゥルーマンが大学時代から想い続けている女性

クリストフ
リアリティ番組「THE TRUAN SHOW」の製作者であり、シーヘヴンを設計・創造した人物



【いつもと違う朝】

ある日の朝、トゥルーマンは死んだはずの父とすれ違う。

父はホームレスの格好をしている。トゥルーマンが驚いて話しかけようとすると、なぜか近くを歩いていた男女が強引に父をバスに乗り込ませて連れ去った。

トゥルーマンが子供の頃、嵐で海が荒れて、一緒にヨットに乗っていた父が溺死した(死体は見つからず)。

 

その経験のせいで海(水)が怖くて、住んでいるシーヘブン島から出られない。

 

本当は仕事を辞めて島を出て、フィジー諸島に行きたいと思っている。その理由は、大学時代に恋した女性が忘れられず、今でも会いたいと思っているからであった。

 



【大学時代の思い出】

トゥルーマンは校内で、ようやく恋するローレンに話しかける機会を得た。

しかし彼女は「あなたに話しかけてはいけないと指示されている。」と小声で言う。もちろん、彼は諦めない。ローレンの方も誰にも知られずに、彼に何かを伝えたがっているようだ。

二人はこっそりと夜の大学を抜け出し、海岸に行く。

そこに1台の車が近づいて来た。

 

「奴らよ!皆があなたを見ていて、あなたの前で芝居をしているの。」
「ローレンは偽名よ。私はシルヴィア。」


ローレンはトゥルーマンに必死で真実を伝えようとするが、車から彼女の父と名乗る男が降りてきて彼女を連れ去ろうとする。

「空も海もみんな舞台装置。番組の一部なのよ!」
「私を捜しに来て。」

 



その男はローレンを精神病扱いし、「フィジーに療養に行く」と言って車で連れ去ってしまった。


その時に彼女が落としていった赤いカーディガンを、トゥルーマンは今でも大切に持っている。今でもずっと、彼女を想い続けているから。

(そしてシルヴィアも、TV放送で見てそのことを知っている)



【島を出る決意】

ある朝、ニュースの途中でカーラジオの受信電波がおかしくなり、「エキストラ、配置につけ。90秒で到着。子犬の準備は? 現在地、ランカスター広場」というアナウンスの声に切り替わった。

 


それはちょうどトゥルーマンが運転中の現在地と同じ場所である。

 


「自分はつけられている・・・?」と感じた彼は、町の人々を本気で疑いの目で見るようになった。そうなると、次から次へと『おかしなこと』に気づくものだ。


特に自分の結婚式の写真を見返した時、妻(メリル)がこっそりと『フィンガークロスをしていた』ことに気づいてから不信感は増大する。

 

(※をついたときに人差し指と中指を交差させるジェスチャーをすると、神様に罰せられないという。つまり、妻は自分を愛していないのに結婚したってこと?!)


トゥルーマンは自分の夢を実行するために、旅行代理店でフィジー諸島行きの便を予約しようとする。しかしあり得ないことに、受付の女性から「1ヶ月先まで満員」だと告げられる。


仕方がないので、ひとまずシカゴ行きのバスに乗り込んだ。しかしそのバスは突然の故障で動かず、全員が降ろされた。


最終手段としてトゥルーマンは自宅に戻り、道連れにメリルを車に乗せ、アトランティックシティに向けて出発。するとまるで邪魔をするように突然、大渋滞が起こった。


あきらめて別の道、今度はニューオリンズ方向に車を走らせる。先ほどの道を見てみると、もう魔法のように渋滞が消えている。


ようやく橋に着いたが、どうしても水が怖くて渡れない(潜在意識の洗脳)。彼は無理やり妻メリルにハンドルを握らせ、アクセルを踏んで強引に橋を渡り切った。


すると今度は「山火事発生」の看板が現れ、行く手に急に炎が上がる。(それも嘘だとわかっているので)笑いながら突き進むと、その先では原発の事故が起こっていた。

「放射能漏れで通れない」と説明されたが、何故かその警察官は初対面なのに彼の名前を知っていた

この原発事故も『嘘』『茶番劇』だと確信を得た彼は車を降り、追っ手を振り切って突破しようとするが、捕まって家に戻されてしまった。



【全ては嘘?】

家のキッチンでココア缶を持って、不自然にCM(広告宣伝)のようなセリフを言うメリル

 

 

トゥルーマンが不信感から問い詰めたとき、彼女は本気で恐怖を感じて「誰か助けて〜〜!」と(カメラ目線で)叫んでしまった。

そこにタイミングよく親友マーロンが訪ねてきて、メリルは助かった。

 


その夜、マーロンに悩みを相談するトゥルーマン。
「頭が変なのかな。まるで世界が自分中心に回っているようだ。」

「君のためなら何でもする。君には絶対に嘘をつかない。」
そう答えるマーロンだが、実はそのセリフはリアルタイムでクリストフの指示(無線)に従って喋っているだけなのだ。

 

 

 

「妄想だよ。でも一つだけ、真実がある。」
そう言ってマーロンは、自分が見つけてここに呼んできたというトゥルーマンの父親と再会させる

生演奏のピアノのBGMが流れ、カメラがクローズアップ。クリストフの演出による感動的な『親子の再会シーン』は、世界中の視聴者の涙を誘う。

 

 

 

しかしただ一人、シルヴィアだけは複雑な思いで画面の中の彼を見つめていた。


※父親が死んだことにした理由は、冒険好きのトゥルーマンを「水恐怖症」にして島から出さないためだった。しかしそれで出番がなくなった父親役の男は不満を抱き続け、22年後に番組セットにこっそり潜り込んだというわけ。台本通りにはいかないこともあるが、新たな設定によりつじつまを合わせることも可能なのだ。



【インタビュー中の出来事】

番組製作者クリストフの会社の221階は『月面ルーム』という部屋で、見かけは本物の『月』に見える。

クリストフは生放送でインタビューを受け、成功の秘訣を語っている最中だ。

 


「俳優の作り物の演技にはいい加減、飽き飽き」と語る彼。

成功の秘訣は徹底したリアリティー。



会社名義で養子縁組をしたトゥルーマンが生まれた時からずっと、人生の全てを5000台の隠しカメラで撮影してきた。それはライブ放送で24時間、1日も休まずに全世界に放映されている。

 


CMブレイクを無しにするため、番組内でスポンサーの商品を使用して視聴者にアピール(宣伝)。使われている服・食べ物・家、全てが通販で買える仕組みだ。


インタビューに答えているクリストフに視聴者からの電話を繋ぐはずが、なぜか「トゥルーマンを騙し続けた!」と抗議をする女性の声に切り替わった。それはシルヴィアだった。


「一人の人間の人生をさらしものにする権利があるの? 平気なの?」

「私は彼に普通の暮らしを与えている。シーヘヴンは理想郷だ。」

「自由のない囚人だわ!」

「本気で事の真相を知りたいと願うなら、我々は止めない。」
「君が腹立たしく思っているのは、彼自身が今の監獄を気に入っていることでは?」


「間違いよ。彼が証明するわ!」

 



【消えたトゥルーマン】

シーヘヴンでは、今日もまたいつもと同じパターンの朝が始まる。
しかし、職場には新入社員の若い美女がいる。

精神的に限界にきたメリル(妻)役の女性が降板したので、彼女は家を出たことにして新しい恋人を登場させるシナリオだ。

 


その日の夜、自宅の地下室で布団にくるまって寝息を立てているトゥルーマン。カメラに映るそんな姿に違和感を覚えたクリストフは、すぐにマーロンを向かわせた。

 


マーロンが地下室の布団をはぐと、その中にあったのは雪だるまの人形で、寝息の音は録音されたテープから流れていた。

 


家中を探しても彼は見つからないため、テレビの画面は「機械の故障です。お待ちください」の表示に切り替わった。会社には問い合わせの電話が鳴り響き、スポンサーは怒りまくっている。

 


その間に、エキストラを総動員してセット(シーヘヴン島)中を捜索する。クリストフはモニターの中に、ヨットで海を渡るトゥルーマンを発見した。
 

 


【海の向こうには・・・】

海を映すカメラに切り替わり、LIVE放送がONになる。

笑顔で舵をとって進むトゥルーマン。その様子をテレビで見て嬉し泣きをするシルヴィア。

 


クリストフはフェリーで追いかけるように指示を出すが、全員が『俳優』なので実際には操縦できない。

そこで天候装置を「嵐」にセットし、彼の行手を阻むことにした(気象操作)。


何度も稲妻を発生させ、大波が船を襲う。このままでは、本当に死んでしまうかもしれない。海に落ちては、船に這い上がって戻るトゥルーマンを、視聴者たちがテレビの前で応援している。

 


「僕は負けない。殺せるなら、殺してみろ!」と叫ぶトゥルーマンに対して、放送中止の提案も無視して「もっと嵐を!」と冷酷に指示するクリストフ。


しかし「もう充分だ・・・」と諦めて嵐を止めた時、トゥルーマンは残る力を振り絞り、船の帆を上げてさらに進み続けた。

 


突然、船の先が何かにぶち当たった。
それは空と雲が描かれた、セット(ドーム)の壁だった。

 


驚いたトゥルーマンは手を伸ばして、その空色の壁を触ってみた。叩いても、叩いても壊れない頑丈な壁。

壁づたいに歩いていくと、その先に階段があった。

 

 

 

階段を登ると、「出口」と書かれたドアがある。そのドアを開けた瞬間、天から謎の声が彼に語りかける。

 

「トゥルーマン、話せ。聞いているよ。」


「あなたは誰?」とトゥルーマンが質問する。

「人々に喜びを与えているテレビ番組の製作者だ。」

「…で、僕は誰?」

「君はスターだ。」

「全部、作り物?」

「君は本物だ。だから人が見る。外の世界より真実があるのは、私が創った君の世界だ。⋯そこに危険はない。私は君の全てを知っている。」

「頭の中に、カメラはない!」

「君は怖いから外へ出て行けないんだ。」
「君は逃げ出せない。死ぬまで!」



そんな脅しに負けず、トゥルーマンはカメラ側に向かって笑顔を見せ、ドアの向こうに消えていった

 


それを見たシルヴィアは、いてもたってもいられず部屋から駆け出す。

世界中の視聴者たちは歓声を上げ、ハイタッチをしたり抱き合っている。

呆然とするクリストフ。
カメラの電源は切られ、テレビ画面は砂嵐になった。

 


しかし視聴者たちはもうすでに別の番組を見ようと、テレビ番組表を探しているのだった。

(完)

 

 

【この映画を見て感じたこと】

 

金儲けしか頭にないメディア。そして「思う壺」のように簡単に夢中になり、そうかと思えばすぐに飽きてしまう視聴者への皮肉がたっぷり。


あれもこれも「嘘ばかり」だと気づけば、もう今までと同じ人生は送れない。気づかなかったことにして生きる方が楽だとは、全く思わない。私は騙されたままでは納得がいかない、真実を知りたいと思う。


個人的に好きなのは、最後に船が「空が描かれた壁」にぶち当たるシーン。これを見ると「南極の氷の壁」を連想してしまう。


南極の氷の壁の向こうには、何があるのか。残念ながら「南極条約」により、全貌を知ることはできない。私たちも実は外の世界には出られない、ドームに閉じ込められた存在なのかもしれない。

 


Terra Infinita


こういうことを書くと映画のように「それは妄想・陰謀論」と言う人の方が圧倒的多数だが、私たちが学校で教えられてきたことだって、多くは単なる「(誰かにとって都合のいい)仮説」なのである。


映画の中の「ここに危険はない」「君は怖いから外へ出て行けないんだ。」「君は逃げ出せない。死ぬまで!」というクリストフの言葉をどう思うか。


安全な人生って何?
自分を押さえて、世間や他人に合わせた無難な人生?



「私たちが生きているこの世界はバーチャルリアリティ(仮想現実)」、「人生は自分が書いたシナリオ通り」とも言われる。


人生を自分が設定しているなら、書き換えることだってできる!
登場人物も書き換えられるし、その都度、軌道修正だって可能なんだ。



最後まで諦めなかったトゥルーマン。
信念を貫いた彼は、ドアの向こうで自分のシナリオを生きることができる。

 

 

2024年1月4日

piyo

 

 

 

 

迷走記 〜人生は選択の連続〜