16歳から21歳まで、睡眠中頻繁に「金縛り」に悩まされていた。ネットもない時代だし、変に思われるのが嫌で誰にも言えず、一人で耐えていた。
意識はあるのに目も開けられないし、体も動かせない 最初は恐怖でいっぱい。しかし回数を重ねるごとに冷静になって、「これは霊現象じゃない」と確信を持った。
力を入れて目を開けよう、体を動かそうとしても無理。何かが見えたことはないが、聴覚だけが異常に敏感になり、時計の針の音や遠くで電車が走る音が耳の中で大きく鳴り響き、壮絶なドラム・ソロの様に変化した。
目一杯力んで金縛りが解けた途端、すごい疲労感に襲われた。
自分の部屋に原因があるのかと思ったが、知人の家に泊まった夜も金縛り状態になったことがある。解けて目を開けた時、その子が「怖い夢見てた?」と心配そうに私の顔を覗いていた。うなされていたのか? 聞くのが怖くて「いや、大丈夫」とだけ答えた。
当時はネットがない時代で調べる手段がなかったので、自分で仮説を立てた。肉体は眠っているが、精神がピリピリして目覚めていて「ズレ」が生じているのではないか。
学生時代、家族との関係に悩んでいた。家を出ようと決意した21歳以降、不思議と現象は止まった。
思春期独特の現象だったのかもしれない。