解雇から数ヶ月過ぎても男は働くことはなかった
癲癇疾患を持つ男は幼少期からまともな治療すら受けていなかった
私は、男を総合病院で受診させ、紹介状を作成してもらい、男に治療を受けさせた
この頃男は、私へのDVを私の友人に責められ、逆ギレして癲癇の薬を過剰摂取し、出ていった
暫くすると、救急車と警察車両のサイレンの音が聞こえた
表に出るとやはり男だった
救急隊員に頼んで家まで運んでもらいそのまま寝かせたが、翌朝発作で酷く暴れる男を救急搬送した
このとき初めて男の父親と話しをした
男はわずか一日で無理矢理退院
一日入院しただけで、5万円以上の請求がきたが、そんな高額なお金を支払い前の私には支払う余裕がなかった
一部だけを支払い、期日までに支払うという約束で私は連帯保証人にされ、結局私が支払った
この後も男の暴力は続いた
耐えきれなかった私は岡崎の友人を頼って男から逃げた
その後岡崎まで来た男に、また友人の家で顔が変形するくらいの暴力を受けた
もう死んでしまいたかった
男の父親に頼んでも、どうにもしてもらえない
働かない人間ひとり一年間生活するのにいったい幾らのお金がかかると思っているのか…
私のクレジットカード地獄はもう雪だるましきだった
支払いのために自分のものを次々と売却して返済にあてていたが、もう限界だった
いつまでも岡崎の友人に迷惑をかけるわけにもいかない
大阪に戻って生活保護を申請するということで望まない入籍をした
生活保護は一時的なもので、仕事をみつけて働くというのが約束だった
だけど男は約束なんて守ることはない
仕事なんてさがす素振りもなく…相変わらず好き放題
気に入らなければ暴力…
そして迎えた正月
年を明けた一月三日、男に受けた暴力に限界を感じた私は、110番して、駆けつけた警察官に、男を逮捕してくれと言った
男はその場で暴行の容疑で逮捕された
私は救急車で日赤病院に搬送された
検査の結果、腹部を思いっきり踏みつけられた衝撃で、子宮の細かい血管が破裂、出血をおこしていた
肋骨も4本折れていたが、2本は時間が経った骨折
眼球の奥の骨を骨折したときに受けた暴力のものであることはわかっていた
あとの2本は間違いなく今回の暴行による骨折に間違いないという診断だった
男は暴行から傷害に容疑が切り替わった
調べをうけている男と私の供述が食い違うと、私は検察庁に呼び出された
男は私の尻を蹴っただけだと証言していた
尻を蹴られて肋骨が折れることなどない
男に犯歴はなかったが、正式起訴まで持っていかれた
悪質極まりないと言うのが検事の言葉だった
男が逮捕されてから、私はいくつも掛け持ちで仕事をした
返済のために
ガラスの割れたすきま風の酷い寒い部屋で暖房も使わずに、何枚もパジャマを重ねて愛猫を抱いて布団に潜り込んで眠る
男がいた頃は2万円を超えていた電気代も、4000円ほどまで節約した
食べるものも満足に食べず、気絶寸前の寝落ちに襲われるくらい睡眠不足でとにかく働いた
本当は離婚したかった
だけど男は離婚には応じなかった
男の父親も、地元に息子が帰ってくることをあからさまに嫌がっていた
結局私に丸投げ…
ていよく私は男をおしつけられていた
しかし男が逮捕されている間は愛猫と平穏な日々が続いた
これもまた、ながくは続かない平穏にすぎなかったが…